2023年3月12日
仏教の教えを世に広めた人といえば「お釈迦様」。日本では親しみを込めてそう呼ばれることが多いですが、他にも10以上もの呼び名があることをご存じでしょうか。
お釈迦様の本名は、ゴータマ・シッダールタといいます。彼の生まれた古代インドのサンスクリット語でゴータマは「最上の牛」、シッダールタは「到達した者」を表します。なぜ牛なのか不思議に思うかもしれませんが、インドでは古くから牛が神聖なものとされていることから、非常に尊い名前であると考えられます。
日本でよく耳にする「釈迦」は、釈迦牟尼(しゃかむに)の略称。釈迦牟尼は「シャークヤ(シャカ)族の聖者」を意味します。つまり、お釈迦様という呼び方の由来は、部族の名前にあったのです。ちなみに、敬意を込めて省略すると「釈尊」となります。
手塚治虫の漫画のタイトルにもなっている「ブッダ」という呼び名も、サンスクリット語で「悟った人」という意味です。仏教は、修行を積んで悟りを開くことを目的にしているため、悟った人は全てブッダと呼ぶことができます。つまり、ブッダは個人名ではなく、たくさん存在するのです。
また、ブッダを漢字で書くと「仏陀」とするのが一般的ですが、それ以外にも「仏」、「浮図」、「浮屠」という表記もあるのだそう。
その他には、彼をたたえる10種類の呼び名を集めた、如来の十号と呼ばれるものもあります。例えば、そのうちの明行足(みょうぎょうそく)という呼称には「智慧(ちえ)と行為を備えた人」、善逝(ぜんぜい)という呼称には「迷い(煩悩)を断ち切って、苦しみの多い世間をよく抜け出た者」という意味があります。これは、よくぞ逝った人、とも言い換えられそうですね。
ここでは一部を紹介しましたが、これら以外の多くの呼び名からも、当時の人々がどのように彼を敬ってきたのかが想像できます。皆さんの身近にも、明行足と呼べるような人がいるか、思い返してみてはいかがでしょうか。