2022年9月1日
特養や有料老人ホームに入居をする場合に、悩みのタネになることの一つが「今住んでいる家や家財道具をどうするか」です。
よほどの高級物件でない限り、高齢者施設の1人用部屋は広くても20平方メートル程度です。収納スペースがほとんどない上に、盗難や紛失などのリスクを避けたい施設側が「なるべく私物は持ってこないでください」と依頼することもあり、入居に際しては「自宅そのもの含めて家財のほとんどを処分する」か「自宅や家財はそのままにして入居をする」の二者択一を迫られることがほとんどです。
「家財を処分したいがリサイクル店に持っていくのも大変。結局手を付けられなかった…」という理由で入居が流れるのを防ぐために、近所の高齢者に無料でフリーマーケットアプリの使い方講座を開催するなど、介護事業者は、あの手この手の工夫をしています。
入居者が高齢者施設に持ち込む私物としては、家族の写真や亡くなった配偶者の位牌(いはい)など「思い出が詰まったもの」「リサイクル業者などでは引き取り・処分が難しいもの」が多いですが、中にはこんな例もあるそうです。
有料老人ホームに入居した70代後半の女性が「これだけはどうしても処分したくなかった」と、一つの段ボール箱を持ち込みました。
中にぎっしりと詰まっていたのは、アイドルグループ「嵐」のDVDやコンサートグッズ。お孫さんが大ファンで、一緒に音楽番組などを見ているうちに自分もすっかり夢中になってしまったとか。ちなみに〝推しメン〟は松本潤さんだそうです。
ホームのカラオケレクでも、皆が昭和歌謡などを歌う中で彼女だけは嵐の歌を熱唱。ほかの入居者はぽかんとしているそうですが、若いスタッフは彼女が歌うときが一番盛り上がるとか。