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お寺と福祉の情報局

お線香、煙と香りは「食べる」ため?

2024年6月11日

 亡くなった人には、仏壇やお墓にお供えをするのがしきたりです。お供えといえば、菓子や果物、飲み物などはもちろんですが、お線香の煙が漂っている様子をイメージする方も多いのではないでしょうか。

線香(イメージ)
線香(イメージ)

 では、なぜお線香をあげるのか。意外と「そういうものだから」と受け入れていた方も多いかもしれませんが、実は仏教では、亡くなったものは香りを好んで食べるといわれているのです。

 これは4~5世紀ごろに成立したとされる『俱舎論(くしゃろん)』という仏教経典に書かれており、一部の部派仏教では、肉体が死んだその時から次に生を受けるまでに「中有(中陰)」という時期があることを想定します。魂は残っているけど実体を持たない、幽体のような姿でいる期間だと思うと想像しやすいかもしれません。

 この期間はお線香の香りや食べ物のにおいを食べて過ごすとされていて、その存在は「食香(じきこう)」などと称されます。「四十九日までは線香の煙を絶やしてはいけない」という説は、食香にとってのご飯が香りであることが理由だともいわれます。

 ちなみに最近では煙の少ないタイプのお香なども販売されていますが、もしかすると、食香にとっては少し困ってしまうものなのかも…とつい考えてしまいます。

 仏教の教えらしく、良い行いをした人は良い香りを食べられるとも伝えられます。みずみずしい果物の香りも喜ばれそうですが、毎日立てるのが望ましいとされるお線香にもさまざまな香りがあります。

 「亡くなったあの人は、好きな香りを食べられているだろうか」。時にはゆっくりと回想し、故人と一緒ににおいを味わってみてはいかがでしょうか。

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