2024年12月2日
京都市の人口は約144万人。日本を代表する大都市ですが、以前より「都市の規模の割には高齢者住宅の数が少ない」といわれています。
正確にいうと、地元の医療法人などが運営する高齢者住宅はそれなりにあるのですが、全国規模で展開をするような大手チェーンが運営する物件が他の大都市に比べて少ないのです。
この理由には「食生活や伝統行事など、京都の人独特の生活習慣に対応できる運営ノウハウがない」という介護事業者側の事情に加え、「地元以外の事業者が運営する物件に対する警戒感」など、地元愛の強い京都の人の性格があるようです。
そうした中、これまで京都に全く縁もゆかりもなかった中堅介護事業者が9月に京都市内で住宅型有料老人ホームを開設し、10日足らずで約6割の入居契約を獲得しました。これには当の運営企業も「想像以上の出足」と笑顔を隠しきれません。
好調の秘密は何なのでしょうか?
京都出身の社員を福岡から赴任させて、開設1年前から地道に地域との関係構築に努めてきたことのほか、京都の人の心に「刺さる」特別な運営をしていることが挙げられます。
その一つが料金体系。これまで、この会社が運営する高齢者住宅では、毎月の電気料金などは部屋に備え付けられたメーターに基づき請求していましたが、京都のホームでは一定額にして管理費に組み込んでいます。
「京都の人は、後からいろいろ請求されるよりも、料金体系がシンプルなものを好む傾向があります」と、福岡から赴任した京都エリアの担当者は語ります。入居者は電気や水道が使い放題ですが、「あんまりたくさん使ったら悪いね」と、かえって節約してくれる人が多いそうです。