2025年2月3日
※文化時報2024年11月22日号の掲載記事です。
浄土真宗本願寺派本願寺尾崎別院(山﨑昌彦輪番、大阪府阪南市)で10日、地元住民によるイベント「癒(いや)し 心をととのえる」が初めて開かれた。別院を交流の場と位置付けた取り組みで、僧俗が協力し、失われつつある活気を取り戻そうとしている。(大橋学修)
本堂では勤行やヨガの体験が行われ、庫裏では金属製の楽器「シンギングボウル」の音色を聞きながら受けるヘッドマッサージコーナーなどを開設。境内では、来場者がひきたての豆を使ったコーヒーを味わいながら、ゆったりとした時間を過ごした。
企画したのは、コーヒー店を営む山田志保さん(38)とヨガインストラクターの湯川奈保子さん(38)。山田さんは「地域には一人暮らしの人が多い。ここはふらっと来て、ゆっくり休んで帰る場所であってほしい」、湯川さんは「心や脳の疲れを癒やしてほしい」と話した。
元々は行政が別院のポテンシャルに着目。阪南市市民活動センターは今年7月、「ぽれぽれ夜店in尾崎別院」を開催した。境内に16の露店が出て、住民約800人が訪れたという。
センター長の佐渡千嘉子さんは「子どもの頃は別院が遊び場だった。山﨑輪番は山門を常に開けてくださっており、誰でも入りやすい」と話す。
住民の徳留智恵さん(47)が別院のイメージキャラクターを作るなど、地元に愛される尾崎別院。今後は関西国際空港に近いという立地を生かし、訪日外国人客(インバウンド)向けの事業も模索する。山﨑輪番は「都会に住む人も、喧噪(けんそう)から離れて参拝し、静かなひとときを過ごしてほしい」と話している。