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自閉症の妹と共に 『ちづる』須磨寺で上映会

2025年5月12日

※文化時報2025年2月4日号の掲載記事です。

 自閉症と知的障害のある妹と母を、学生の兄が撮影したドキュメンタリー映画『ちづる』の上映会が1月25日、真言宗須磨寺派大本山須磨寺(小池弘三貫主)で開かれた。作品の鑑賞後には赤﨑正和監督とプロデューサーを務めた映画監督の池谷薫さん、小池陽人寺務長によるトークセッションも行われ、約100人が障害のある人の暮らしや家族について思いをはせた。

 『ちづる』は2011(平成23)年、赤﨑監督が立教大学現代心理学部映像身体学科の在学中に卒業制作として作った作品。当時19~20歳だった妹の千鶴さんと同居する母の久美さん、時には自分自身にもカメラを向け、1年にわたり撮影した。

 指導教授だった池谷さんを中心に、現役の大学生たちが配給・宣伝に挑戦したことでも知られる。劇場公開されると異例のヒットを果たし、公開から10年以上たった現在も各地で上映会が行われている。

(画像:映画『ちづる』の宣伝チラシ)
映画『ちづる』の宣伝チラシ

 トークセッションで小池寺務長は「赤﨑監督自身が当事者で家族の一員だからこそ、いろいろな立場に感情移入できた。愛にあふれ、仏教でいう慈悲に満ちた家族の映画だと思った」と感想を語った。

 池谷さんは、学生当時に赤﨑監督が千鶴さんの障害をカミングアウトし、相当な覚悟を持って撮影したというエピソードを披露。久美さんもまた、自閉症について理解してほしいとの思いから、批判を覚悟で劇場公開を了承したといい、「赤﨑監督の成長が刻まれた作品ともいえるし、久美さんと千鶴さんの冒険は今も続いている」と述べた。

(画像アイキャッチ兼用:上映会後にトークセッションを行うプロデューサーの池谷さん、赤﨑監督、小池寺務長(左から)=大本山須磨寺)
上映会後にトークセッションを行うプロデューサーの池谷さん、赤﨑監督、小池寺務長(左から)=大本山須磨寺

 赤﨑監督は「人様に見てもらうには、しんどさも恥ずかしさもあった」と振り返りつつ、卒業後は知的障害者のための福祉施設で働いていることや、千鶴さんと良好なきょうだい関係にあることを明かした。「妹は最近『一人暮らしをする』と言い出した。それが自然な形なのかなと思う」とも語った。

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