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UFOや妖精に出会う子らへ ホシノイズミで開花

2025年9月1日

※文化時報2025年5月23日号の掲載記事です。

 日蓮宗大本山妙顯寺(京都市上京区)塔頭(たっちゅう)の泉妙院(小野惠大住職)は、他の人と異なる感覚を持つため社会になじみにくいと感じている子どもたちの居場所「ホシノイズミ」を毎月第1、3金曜に開いている。企画運営するのは、寺庭婦人の佳代子さん(60)。「学校から『変です』と言われ、親が不思議に感じることを口にし、発達障害であると診断されても、驚くほどの才能を持っている。それを伸ばすことが私のやることだと思う」と話す。(大橋学修)

 江戸中期の絵師、尾形光琳の墓所がある泉妙院。山門には緑色の立て看板があり、チラシが張られている。妖精やUFOに出会ったりする不思議な体験をした子どもたちが、話をしたり聞いたりする場所だという。

(画像:「ホシノイズミ」の看板を置いた泉妙院の山門)
「ホシノイズミ」の看板を置いた泉妙院の山門

 森の小道のような参道を通った先にある庫裏の玄関を開けると、着色した綿棒で作ったオブジェがあちこちに飾り付けられている。幾何学的図形の中に宇宙の真理が隠されていると考えた哲学者プラトンの名前が付けられた正多面体「プラトン立体」だ。壁際の机には、鉱物に関する本が並ぶ。

 車で1時間ほど離れた場所に住む女性は、美容院に置かれたチラシに〝ビビッ〟ときて、1人で参加した。不思議なものが見えることを互いに共感しながら、妖精を呼ぶ「妖精お茶会」で話が盛り上がった。

 別の日には、佳代子さんが演奏するウクレレの音色に耳を傾けながら、折り紙を楽しむ小学生やギターを教えてもらう子どもたちがいた。

(画像アイキャッチ兼用:プラトン立体のそばで妖精の話で盛り上がる参加者)
プラトン立体のそばで妖精の話で盛り上がる参加者

 佳代子さんは、子どもたちが興味のあることをしながら過ごす居場所づくりを心掛けている。今後はさまざまな分野の講師を招いて、それぞれの才能を伸ばそうと考えている。「人工知能(AI)が台頭する中で、子どもたちの未来は物質的なことよりも、精神的なことが大事になる。芸術文化を大切にする時代が来る」と力を込める。 

21年の閉鎖を超えて

 佳代子さんは、京都市立京極小学校の運営協議会理事長や、子育てに関わる100以上の団体で構成される「京都はぐくみネットワーク」の世話役を歴任。地域では、放課後児童クラブで本の読み聞かせを行ってきた。そうした中で、それぞれの個性に合わせた教育を学校で行うことの難しさを感じていた。

 また、霊的体験や神秘的な感性を持っている子どもたちが、周囲の人に奇異なまなざしを向けられることを恐れて隠したり、自分が持つ感性そのものに苦しんでいたりする様子も目の当たりにしてきた。そうした困難を抱える子どもたちの居場所が必要と考えたという。

(画像:ウクレレを聞きながら折り紙を楽しむ小学生)
ウクレレを聞きながら折り紙を楽しむ小学生

 泉妙院は1998(平成10)年、小野住職の両親に当たる前住職夫婦が体調不良で相次ぎ倒れてから、閉鎖されていた。周辺施設から発生する高い電磁波の影響を疑ったためで、以降は兼務する法泉院(京都市上京区)で全ての法務を取り行うことになった。

 それが2019(令和元)年5月、小野住職が電磁波測定器で測ると、電磁波の数値が下がっていた。これを契機に泉妙院を再開し、佳代子さんが構想していた居場所づくりも今年3月から始めることにした。

 「ホシノイズミ」と名付けたのは、泉妙院の立つ場所が昔は大きなくぼ地で、星が落ちた跡だといわれていることにちなんだという。

(画像:壁際の机に置かれた鉱物関係の本)
壁際の机に置かれた鉱物関係の本

 小野住職は「ずっと閉鎖したままなのかと思い悩んでいたが、電磁波の数値が急に下がるとは。こんなことがあるとは思いもよらなかった」と振り返り、佳代子さんは「お寺は昔、いろいろなことを教えてもらえる場所だった。それぞれが得意な分野で生きていけるようにすることが、私たちがこの場所を与えられた意味だと思う」と話した。

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