2025年11月26日
※文化時報2025年9月30日号の掲載記事です。
ユニークな社会活動にお寺で取り組む僧侶や関係者の話を聞き、地域社会の在り方について考えるトークイベント「オモロー寺子屋発表会」が13日、大阪府茨木市の浄土真宗本願寺派西光寺で行われた。お寺とは関係のない市民でつくる実行委員会が主催した初めての試み。6人が15分の持ち時間で登壇し、約40人が対話に参加した。(主筆 小野木康雄)
西光寺坊守で任意団体「むすびや寺こや」代表の櫻井久美さんは、不登校の子の保護者向けのカフェや多世代が集まるイベントなどについて紹介。互いの存在を知ろうとすること、分からないことを学び合おうとすること、混ざり合うこと―の三つの柱を大切にしていると語った。

浄土宗クリチバ日伯寺(ブラジル)住職の大江田晃義さんはオンラインで参加。現地で企業の一室を間借りしたところから本堂建立に至るまでの苦労を振り返り、「ご縁があって物事は動いていく」と話した。
浄土宗銀山寺(大阪市天王寺区)住職の末髙隆玄さんは、高齢者や障害者とその家族を対象にした催しを開くようになったきっかけが、介護者カフェ=用語解説=の立ち上げ講座や文化時報社の福祉仏教入門講座だったと指摘。催しは「主催者が楽しまないとだめ」と強調した。
本願寺派善念寺(大阪市西淀川区)の坊守で2020年から「なもなも子ども食堂」を開催する八木宝加さんは、学習意欲がありながら家庭環境に恵まれない子どもたちを、協力し合って支えていると語った。
インドと日本を行き来する僧侶の龍亀さんは、地方で廃寺が増えている現状を背景に「お寺が必要とされていないのではないか」と問題提起。一般財団法人お寺と教会の親なきあと相談室(京都市下京区)理事の藤井奈緒さんは、不安な気持ちに寄り添う場としてお寺が大切だと指摘し、「頼る人たちもお寺をどう支えるか、盛り立てるかを考えている」と話した。
全員に〝主役〟になってもらおうと、発表の合間には参加者と登壇者がグループに分かれて感想を語り合う「わっかトーク」が3回設けられ、対話によって考えを深め合っていた。

オモロー寺子屋発表会の仕掛け人は、アウトドアツアーの企画・運営などを手掛ける株式会社ココロ(大阪市北区)CEOの片山誠さん。公立学校の先生たちを応援するトークイベント「オモロー授業発表会」を2年前に始めたことで知られる。
オモロー授業発表会は、ユニークな授業に取り組む先生から話を聞き、対話する。身内の学校関係者ではなく、保護者が主催して先生を招くやり方が奏功し、全国約140カ所でイベントが行われるまでになった。

オモロー寺子屋発表会も第三者が盛り立てようと、寺院関係者ではない片山さんが仲間に声をかけて企画した。誰もが困ったときに駆け込める場▽子どもたちの第3の居場所▽お坊さんの話を聞ける場―に、お寺がなることを目指す。
片山さんは「素敵な活動をしていて、地元に必要とされているお寺をたくさんの人に知っていただき、お寺とつながってほしい」と話している。今後は会員制交流サイト(SNS)や口コミで、全国に広げていく方針だ。
【用語解説】介護者カフェ
在宅介護の介護者(ケアラー)らが集まり、悩みや疑問を自由に語り合うことで、分かち合いや情報交換をする場。「ケアラーズカフェ」とも呼ばれる。主にNPO法人や自治体などが行っているが、浄土宗もお寺での開催に取り組んでいる。孤立を防ぐ活動として注目される。