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最終末期の在り方議論「人生会議が心の支えに」

2025年12月16日

※文化時報2025年10月24日号の掲載記事です。

 看護やケアを取り巻く問題について考える「日本ホスピス・在宅ケア研究会」の全国大会が11、12の両日、大阪市内で開催され、医療・介護関係者や一般市民、学生など570人(主催者発表)が来場した。アドバンス・ケア・プランニング(ACP)=用語解説=に関するプログラムも複数設けられ、理想的な人生の最終末期の在り方について活発な議論が交わされた。

 11日に行われた市民部会「他人事で終わりにしない~私と家族の語り合う人生会議」では、参加者が4~5人のグループに分かれ「人生会議はやるべきか、やらないべきか」など四つのテーマに基づいて意見交換した。

 結果的には誤診だったが「がんで余命半年」と医師から宣告されたことがあるという女性は「余命宣告後は1日がとても長く感じられた。『あと半年もこれが続くのか』と心理的負担が大きい中で、『自分の残りの人生をどう歩むか』を考える人生会議は心を支える杖(つえ)になった」と、自らの体験を語った。

 その一方で「あまりにも重たい話は友人にはできない。そして医療従事者は冷静的・現実的に回答しすぎる傾向がある」とし「誰と語るかが重要になる」と訴えた。

(画像アイキャッチ兼用:人生会議に関する活発な議論が行われた市民部会=11日、大阪市内)
人生会議に関する活発な議論が行われた市民部会=11日、大阪市内

 また、高齢の男性は「本来ならば家族と話をすべきなのだろうが、逆に家族だからこそ本音を言いづらい部分もある。自分の生き方を決めても、必ず意見がぶつかると思う」と語り、本当に自分の思いを伝えられる相手がいないという問題を提起した。

 こうした声に対し、他の参加者からは「その人の暮らしぶりや性格などをある程度知っている人、例えばケアマネジャーや看護師などは、ふとした会話の中から本音を拾ってくれやすい」といった意見が出された。

 また「自分の子どもではなく、孫などワンクッションおいた立場の方が話しやすいのではないか」「今後は人工知能(AI)が本人の意思の聞き役や記録役として役に立つかもしれない」などといった見方が示された。

 日本ホスピス・在宅ケア研究会は1992(平成4)年、がんや在宅ケアといった医療・福祉の諸問題について、専門家と市民が同じ高さの目線で考えるために設立された。医療・福祉関係者だけでなく、患者や教育者、宗教者も参加している。

医療従事者の関与に疑問

 11日には佐賀市内で在宅医療を行う医師の満岡聰氏が「最近のACPの動向」と出して講演。ACPは、本人が言いやすいことや周囲の人が聞きやすいことから始めて最終的に「命に対する考え方」に至るのが理想だと強調した。

 その上で「医師などの医療従事者は、最後の部分を重視していきなり延命措置の話などをするため、家族などとの関係を壊すことがある」と指摘。「最近は病院でACPを行うことも増えているが、チェックボックスを埋めるだけの書式もある。本人が自由に意見や希望を記載できるスペースは絶対に必要」と述べ、医療従事者のACPへの関わり方について疑問を投げかけた。

【用語解説】アドバンス・ケア・プランニング(ACP)

 主に終末期医療において希望する治療やケアを受けるために、本人と家族、医療従事者らが事前に話し合って方針を共有すること。過度な延命治療を疑問視する声から考案された。「人生会議」の愛称で知られる。

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