2026年1月13日
※文化時報2025年11月18日号の掲載記事です。
一般社団法人障がい者自立支援サポート(名古屋市北区)が、障害者向けグループホーム(GH)の設立を目指す人と、入居者確保に悩むアパート経営者や使い道のない空き家を持つ人を探している。両者をつなぐことで、持続可能なGHの運営を実現。利益追求だけを目的にした事業者が横行する中、杉中忠代表理事(53)は「不適格な事業者を淘汰(とうた)したい」と意気込む。(大橋学修)

障がい者自立支援サポートは、2015(平成27)年の団体設立から280棟余りのGH開設を支援しており、事業継続率は95%に上る。フランチャイズ形式で手数料を取り続ける団体とは異なり、設立からおおむね3年で自立してもらうようにしている。
これまでに二つの事業者が廃業したものの、設立支援を行う別の事業者に引き継ぐことで、利用者への影響を避けた。杉中代表理事は「利益ばかり追求する人の施設はだめになる。一方で、利用者のことばかり考えて経営を考慮しないと破綻する。両方を兼ね備えることが重要だ」と話す。
障害者向けサービスを実施する団体は増加しているが、GHは依然として不足している。放課後等デイサービス=用語解説=などに比べ採算性が低い。施設整備に経費もかかり、開設が敬遠されることも背景にあるとみられる。
障がい者自立支援サポートでは、転用可能な戸建て住宅やアパートを賃貸できる人を探し、GH向けに改修してもらうようにしている。家主側には改修費用の負担が生じるが、5人以上の個室が確保できる物件なら、十分に利益が確保できるという。

杉中代表理事は「多くの事業者は、親からの寄付や国からの助成金を頼りにするが、当てにならない。初期投資を抑える仕組みを全国に広げることで、両親が亡くなった後でも本人が暮らしていける環境をつくりたい」と話した。
杉中代表理事が福祉業界に入ったのは29歳のとき。介護事業所で約8年勤務したが、「障害者の住まいが見つからない」「家賃が高すぎる」といった声に応えようと、独立開業を決意した。
2010年にくまねこサポートグループを立ち上げ、生活介護や就労支援施設、GH開設へと事業の幅を広げた。建築や不動産に詳しい知人からのアドバイスを得ながら、中古物件をGHに改装し、施設費を抑制しながら運営できる経営モデルを確立。現在は「こだまのいえ」(名古屋市西区)など20施設余りを運営する。


そんな中で杉中代表理事は、多くの事業所が廃業する姿を見てきた。「理想や利益確保に偏った人が事業をスタートさせようとする時点で、誰かが止めればいいのに」と思うようになり、自らGHの開設支援を行うようにしたという。
杉中代表理事は「困難な中でもキラキラして生きる人から学ぶことが、障害者福祉の本質。助けたり、教えたりする仕事ではない」と強調。「一方で経営のことも考えなければならない。福祉従事者が十分な報酬を得ることが、よりよい支援につながる」と語った。
【用語解説】放課後等デイサービス
6~18歳の障害児や発達に特性のある子どもが、放課後や夏休みなどに利用できる通所サービス。自立支援や日常生活の充実のための活動などを行っている。全国で約28万人が利用している。