2026年3月31日
※文化時報2026年2月17日号の掲載記事です。
地域に根差したお寺を第三の居場所にしようと、ユニークな社会活動に取り組む僧侶や関係者の話を聞くトークイベント「オモロー寺子屋発表会」が1月31日、大阪府池田市の浄土宗西光寺(原章人住職)で開催された。昨年9月と11月に続く3回目で、今回は僧侶3人と1グループが登壇。それぞれの活動や思いを、熱を込めて発表した。(坂本由理)
トップバッターの原住職は約500年前、住職がいないお寺を地域住民が管理し、その後に住職を迎えたといった西光寺の歴史を紹介。それを踏まえて「できるだけいろいろな人にお寺に関わってほしい」と、日曜以外はほぼ毎日、書道や茶道、ヨガなどの教室が開かれており、不特定多数の人が出入りしていると伝えた。
朝の掃除や写経会といった月例行事に加え、自治体に協力してイベント会場として貸し出しているほか、災害時には一時避難場所や遺体の安置所になるという。
原住職は経営学者ピーター・ドラッカーが「最古の非営利組織は日本の寺だ」と言ったことや、哲学者ジョン・スチュアート・ミルの言葉などを引き、「可能な限り開放し、いろいろな人を受け入れ、個性を認め合って切磋琢磨(せっさたくま)できる寺になっていければ」と語った。
インド仏教僧の吉井龍珠さんは、出家前に四国八十八ヶ所霊場を自転車で巡礼したエピソードを披露。宿が見つからず困っていたところ、会員制交流サイト(SNS)を見た人たちが家に泊めてくれたという。
このことで食べ物や泊まるところがなくても、誰かが助けてくれるから大丈夫という境地になったといい「人の中に仏性があるなら、人に出会うことが仏に出会うこと」と説いた。
参加者同士が輪になって感想を述べあう「わっかトーク」で20代の学生は「若者は深い話ができる場所がない。将来の不安や悩みを抱えているとき、お寺の掲示板を見て『お寺なら答えが見つかるのではないか』と興味を持った」と打ち明けた。

お寺で活動する学生団体「てらふる大阪」の関係者も登壇した。片桐美海(よしみ)さんと森本幸太さんで、遊びながら地域文化を学べる謎解きイベントを浄土宗地福寺(大阪府茨木市)で成功させた経験や、地域の祭りが消えてしまったことを知ってゲームやスポーツを楽しむ行事を開催したことなどを紹介。「普段お寺に縁のない若者が、お寺に深く関わることで新しい発想が生まれる」と強調した。
映像制作の慈優株式会社(大阪府池田市)を経営する高野山真言宗僧侶の井上裕径さんは、マジック説法を披露。赤いスポンジボールを「優しい気持ち」に見立てて増やしたり移動させたり、錯覚を活用したりしながら「人間は正しい判断をしていると思っても、必ずしもそうではない」と分かりやすく伝えた。

また「自分のビジネス書は仏教教典。そこに答えが全て書かれてある。悩んだら読んでほしいし、分からなければ近くのお寺の住職に聞いてみて」と呼びかけた。
SNSで開催を知って参加したという龍谷大学4年の林泰誠さん(22)は「マジック説法がとても面白かった。仏教の考えがスッと入ってきた」と話していた。