2023年10月4日
※文化時報2023年8月8日号の掲載記事です。
浄土宗の宗門関係校である佛教大学(京都市北区)社会福祉学部は7月22~27日、「旅する絵本展」を開いた。視覚障害のある子どもたちのために点字付きの絵本を用意し、自由に楽しめるコーナーも設置。学生らが積極的に来場者と関わることで、普段子どもの面倒を見ている保護者もゆったり過ごせる居場所となった。
絵本展は2010(平成22)年から毎年続けている取り組みで、今回が12回目。コロナ禍の影響で、20年と21年は中止していた。毎回異なるテーマの企画を考え、今年は「旅」をテーマにし、6月ごろから準備に取りかかった。
展示には、運営に関わったメンバーらがおすすめの絵本を持ち寄り、簡単な紹介を添えた。隣には本を読んだ感想を書くスペースも用意するなど工夫。絵本以外にも、子どもたちが遊べるような人形やブロック、色鉛筆などを机に並べた。
小学校の夏休み期間中の実施だったため、近隣の児童福祉施設や視覚障害者施設を含め、障害の有無を問わず多くの子どもたちが来場。6日間で延べ260人以上が思い思いの時間を過ごした。
長瀬正子准教授は「子どもと保護者が楽しめる地域に開かれた場を考え、作っていく中で、学生も成長する。その媒体に絵本がある」と語る。
運営に携わった社会福祉学部2年の池田佳奈さん(20)は、社会福祉士と保育士の資格取得を目指しているが、子どもや保護者と関わる機会はこれまであまり持てなかったという。「普段関われない人と関われたのは貴重な経験だった。子育てをするお母さんの『こういう場所はありがたい』との声が印象的だった」と話した。