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不登校「命守るため」本山佛光寺で藤井氏講演

2024年7月22日

※文化時報2024年5月24日号の掲載記事です。

 真宗佛光寺派が毎月開く「僧伽(さんが)に学ぶ研修会」が16日、本山佛光寺(京都市下京区)で行われた。先月に続いて一般財団法人お寺と教会の親なきあと相談室(小野木康雄代表理事)の理事兼アドバイザー、藤井奈緒氏が登壇。参加者30人余りを前に、不登校とひきこもりの子と家族のために、自身が大切にしていることを伝えた。

(画像全景:不登校・ひきこもりをテーマにした講演を聞く参加者ら)
不登校・ひきこもりをテーマにした講演を聞く参加者ら

 藤井氏は、障害のある子やひきこもりの子の親が面倒を見られなくなる「親なきあと」の相談支援を行っている。重度の知的障害のある長女(21)の母親だが、この日は注意欠陥多動性障害(ADHD)=用語解説=と診断された不登校の次女(15)を巡る経験に基づいて語った。

 講演で藤井氏は、学校へ行けなくなった当初は「サボっているのでは」と次女を布団から引きずり出そうとしたが、円形脱毛ができていることに気付いて「信じてあげられなかった。かわいそうなことをした」と悔やんだことを明かした。

 その上で、10代の子は的確な言葉で気持ちを表現できず、学校に行けない理由を問うと「分からない」と答えがちだと指摘。過去5年間に自殺した小中高生のうち、44%がそれまでと変わらず学校へ行っていたとするこども家庭庁の発表を報じた新聞記事を引き合いに、「裏を返せば、不登校の子は、命がけで自分の身を守っている」と語った。

 このため、学校へ行くことをゴールにすることは危険だと強調。「学校の対応で親も子も傷つくことが結構ある」とも伝えた。

 本人に対しては、激励や期待、特別扱いをすることは全て逆効果だと強調。生きていく力を信じることが唯一の〝正解〟であるとし、「ありのままを尊重し、肯定することや、問い詰めないで傾聴することなどが大切」と語り掛けた。

(画像藤井氏・アイキャッチ兼用:「傾聴が大切」と訴える藤井奈緒氏)
「傾聴が大切」と訴える藤井奈緒氏

【用語解説】注意欠陥多動性障害(ADHD)

 不注意や多動性、衝動性を主な特徴とする発達障害。学齢期の小児の3~7%いるとされる。「短く、はっきり」とした伝え方や、分かりやすいルールの提示などの配慮を必要とする。傷ついた体験に寄り添うなどのケアも求められる。

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