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孤立防ぐ更生支援 西本願寺白光荘へ住職寄付

2024年2月18日

※文化時報2024年1月19日号の掲載記事です。

 浄土真宗本願寺派を設立母体とする更生保護施設「西本願寺白光荘」(京都市右京区)に、小林章三浄光寺(広島県福山市)住職が個人資産から200万円を寄付した。昨年12月21日に伝道本部で寄付金伝達式が行われ、白光荘の石田陽子施設長に小林住職が目録を手渡した。42年間務めた保護司を今年6月に退任する小林住職は「退任を機会に、まとまった額を寄付することにした。交流の機会を増やし、孤立を防ぐことにつながれば」と話した。(大橋学修)

 更生保護施設は、刑務所などの矯正施設を出所した人や保護観察中の人を受け入れ、宿泊場所や食事を提供しつつ、自立を援助する施設。白光荘は関西で唯一の女性専用施設で、1952(昭和27)年に設立された。

 寄付金伝達式では、更生保護事業協会会長の池田行信総長があいさつし、「過分なるご寄付。宗門の保護司の先生方には、宗制の中にうたう『自他共に心豊かに生きることのできる社会の実現』のためにご尽力を賜りたい」と呼び掛けた。

(画像:石田施設長に寄付金の目録を手渡す小林住職(左)=昨年12月21日、浄土真宗本願寺派伝道本部)
昨年12月21日、浄土真宗本願寺派伝道本部

 小林住職は、ある保護観察中の男性が更生保護に取り組む女性から声を掛けられたことが、3週間ぶりの人との会話だったというエピソードを紹介。「彼の心に更生保護という光が当たったのだと思う。一人一人にていねいに声を掛けることが大切だ」と語った。

運営費不足が常態化

 「こんなに多額の寄付は初めて」。西本願寺白光荘の石田陽子施設長は、感謝の言葉と共にそう語った。

 白光荘は、施設退所者への生活相談や薬物依存回復訓練を実施するフォローアップ支援に取り組んでいる。国の委託事業のメニューにもあるが、白光荘は委託先に選ばれていないという。職員たちは3カ月で200件ほどの退所者宅を訪問するが、それらの活動費は自己財源から捻出している。定員20人に対して、年間利用者数は60人。寄付金で運営費を補うことが常態化している。

 白光荘を利用する人は、帰る家のない人が大半を占める。幼い頃から男性に利用されて犯罪を重ねるなど、社会経験も乏しい。退所後も支援が必要な人は多く、行政や医療機関と連携しながら多様な対応をしているという。

 石田施設長は「彼女たちにとっては、英語が話せないのに英語圏の社会に放り込まれるのと同じ。人と人とのつながりの中で意識が変わり、それが更生につながっていく」と、継続的な支援の必要性を訴えた。

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