2024年4月20日
※文化時報2024年3月5日号の掲載記事です。
真宗大谷派が所有する梶井町土地(旧了徳寺敷地、京都市上京区)の利活用を巡り、宗派は京都大原記念病院を運営する医療法人社団行陵会(同市左京区)と、40年間の定期借地権設定に向けた基本協定を結ぶことを決めた。2月16日に公告した。敷地内には、病気の子どもに付き添う家族が滞在する施設「ドナルド・マクドナルド・ハウス京都」の誘致がすでに決まっており、この施設が完成予定の2026年秋ごろに、行陵会は回復期のリハビリ病院を建設する予定だ。(高田京介)
契約した土地の面積は約4300平方メートル。高さ制限は15~20メートルで、5~7階の建物が建てられるという。契約保証金は5千万円、賃料は年間5千万円。事業用定期借地権設定契約の締結を目指しており、基本協定の期間は最長26年3月末までと定めた。
梶井町土地は、17(平成29)年に解散した了徳寺の敷地だった土地で、総面積5273平方メートル。住職不在の寺院になって以降、約50年にわたって荒廃した状況が続き、不動産詐欺に悪用されたことがあった。公益事業に利用することを条件に19年に大谷派へ寄付されたが、利活用の方向性が定まらず懸案となっていた。
京都府立医科大学付属病院と京都大学医学部付属病院がいずれも徒歩約10分圏内に立地しており、北東部の971平方メートルについては府立医科大などを運営する京都府公立大学法人に無償貸与した上で、ドナルド・マクドナルド・ハウス京都が建設されることが決まっている。
これまでは宗教法人の境内地として非課税だったが、今後は全ての土地に対して固定資産税がかかる見通し。宗派財務部は約3千万円と試算しており、宗派は行陵会からの賃料収入で賄う。
選定に当たっては昨年11月に公募型プロポーザル方式で事業者を募集。行陵会が応募し、12月1日の財産管理審議会(轡田普善会長)での選考を経て、今年1月18日の宗会議員らで構成する参与会・常務会で基本協定締結が全会一致で議決された。
宗派財務部の担当者は「宗派としてこれらの土地にどう関わっていけるか。検討事項があれば、その都度協議していきたい」と話している。