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病気の子と家族支援 お寺の跡地に滞在施設誘致

2024年2月25日

※文化時報2024年1月23日号の掲載記事です。

 真宗大谷派は16日、所有する梶井町土地(旧了徳寺敷地、京都市上京区)に、病気の子どもに付き添う家族が滞在する施設「ドナルド・マクドナルド・ハウス京都」を誘致すると明らかにした。小児がん拠点病院の京都府立医科大学付属病院(京都市上京区)と京都大学医学部付属病院(同市左京区)が共同利用する。2026年秋ごろの完成を目指す。

 大谷派と京都府、京都府立医科大学、京都大学、公益財団法人ドナルド・マクドナルド・ハウス・チャリティーズ・ジャパン(DMHC、東京都新宿区)が同日、真宗本廟(東本願寺、京都市下京区)で共同記者発表を行った。

 ドナルド・マクドナルド・ハウスは1974年、米フィラデルフィアのマクドナルドの店舗オーナーらが、闘病する子どもの家族を支えようと、病院付近に滞在施設を整備したのが始まり。49カ国に約380カ所あり、国内では京都が14番目の施設となる。宗教教団との連携は国内初という。

(画像:アイキャッチ兼用:ドナルド・マクドナルド・ハウス京都の建設イメージ(京都府提供))
ドナルド・マクドナルド・ハウス京都の建設イメージ(京都府提供)

 大谷派が旧了徳寺敷地の約5分の1に当たる971平方メートルを40年間無償で貸与。府公立大学法人とDMHCが施設を建設する。3階建て延べ約1200平方メートルで、ベッドルーム18室のほか、リビングやダイニング、図書室などの共有スペースを完備する。

 建設費は約8億円を想定し、このうち半分の4億円ほどを寄付金で賄う。京都府や京都大学などが来月に立ち上げる募金委員会が寄付金を募り、ふるさと納税を通じた資金集めも行う見込み。

 小児がんなどの病気を抱える子どもの家族は、高度医療が受けられる病院付近の宿泊施設に滞在するケースが多く、経済的な負担が大きい。京都大学医学部付属病院小児科では過去5年間の入院患者のうち、45%が京都府外の在住者だったという。

 記者会見でDMHCの五十嵐隆理事長は「海外では心のケアを含めたファミリーサポートが行われる事例があり、日本でもその必要性を感じている」と指摘した。

 木越渉宗務総長は「親鸞聖人の教えに基づく寄り添う精神を共有できる」と応じ、近くにある大谷大学教育学部教育学科の幼児教育コースとの交流についても期待感を示した。

(画像:共同記者会見で質問に応じる木越宗務総長)
共同記者会見で質問に応じる木越宗務総長

懸案の土地活用に弾み

 旧了徳寺敷地は、2017(平成29)年に解散した了徳寺の跡地で、総面積5273平方㍍。住職不在の寺院となって以降、約50年にわたって荒廃した状況が続き、不動産詐欺に悪用されたこともあった。19年に大谷派に寄付されたものの、利活用の方向が定まらず、懸案材料となっていた。

 大谷派はドナルド・マクドナルド・ハウス京都を建設する残りの4302平方メートルについて、昨年11月から公募型プロポーザル方式で事業者の募集手続きを進めている。最低価格を年5千万円に設定。医療法人や社会福祉法人などの誘致を見込んでおり、ドナルド・マクドナルド・ハウス京都との相乗効果を期待している。一帯は京都市民の憩いの場となっている鴨川河川敷に接した景勝地で、繁華街にも近いことから、収益施設の立地も期待できる環境にある。

 西脇隆俊京都府知事は会見で「土地の無償貸与という英断をいただいたことは、本当にありがたく感じる」と述べ、感謝の意を表した。

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