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「納得死」どう実現 緩和医療の現場に学ぶ

2024年4月28日

※文化時報2024年3月12日号の掲載記事です。

 順天堂大学は2月24日、第14回お茶の水緩和ケアカンファレンスをオンラインで行った。緩和ケアやスピリチュアルケア=用語解説=について、研究者やチャプレン=用語解説=が講演。人生に納得して最期を迎える「納得死」を実現するため、患者にどう対応するかを考えた。

 聖路加国際病院チャプレンの上田憲明・聖路加国際大学特命教授は、死にゆく人に寄り添うスピリチュアルケアをテーマに、現場でのエピソードを紹介。「人間が最後までできる仕事は、祈ることだ」と患者に伝えると「祈り方が分からない」と言われたといい、祈りの種類には感謝、賛美、懺悔(ざんげ)、願い、代禱(だいとう)、黙禱(もくとう)があると説明した上で「ただ一緒にいることが祈りになる」と話した。

(画像:「お茶の水緩和ケアカンファレンス」で発表する上田特命教授)
「お茶の水緩和ケアカンファレンス」で発表する上田特命教授

 つくし会新田クリニック(東京都国立市)の川﨑志保理・順天堂大学客員准教授は「最新の緩和ケアで必要な倫理の知識と手続き」と題して発表。苦痛から解放するために鎮静剤を投与・増量して患者が亡くなった事例を基に、鎮静と安楽死の違いを改めて考え、現場で話し合うことの意義を伝えた。

 在宅ホスピス研究所パリアン代表の川越厚氏は、真言宗豊山派西明寺(栃木県益子町)住職で、普門院診療所院長も務めた田中雅博師が末期がんで亡くなるまでのドキュメンタリーを上映。「深い鎮静は疼痛の緩和手段でなく、隠蔽(いんぺい)手段だ」と指摘した上で、納得死を実現する条件は「患者・家族が決めた生き方を支援し実現する医療」と「スピリチュアルな痛みをキャッチし適切に対応する医療」だと話した。

【用語解説】スピリチュアルケア

 人生の不条理や死への恐怖など、命にまつわる根源的な苦痛(スピリチュアルペイン)を和らげるケア。傾聴を基本に行う。緩和ケアなどで重視されている。

【用語解説】チャプレン(宗教全般)

主にキリスト教で、教会以外の施設・団体で心のケアに当たる聖職者。仏教僧侶などほかの宗教者にも使われる。日本では主に病院で活動しており、海外には学校や軍隊などで働く聖職者もいる。

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