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「死にたい自分を好きに」曹洞宗、自殺予防訴え

2024年5月23日

※文化時報2024年4月5日号の掲載記事です。

 曹洞宗総合研究センターは3月23日、東京都港区の東京グランドホテルで自死・自殺予防啓発イベント「生きにくさの抜け道~苦しい迷路を抜ける道先案内人とは」をオンライン併用で開催した。自死・自殺の背後にある「生きにくさ」に焦点を当てて僧侶や専門家が講演や討論を行い、約80人が参加した。

 登壇者のうち、浄土真宗本願寺派西照寺(奈良県葛城市)住職で認定NPO法人京都自死・自殺相談センターSottoの竹本了悟代表は、小学生の頃にいじめに遭った経験を明かし「生きにくさの正体は、居心地の良い場所がなくなっていく中で孤独感が強まっていく状況だ」と指摘した。支援者にとって有効な手段は「ハンドマッサージなどで温かさを与え、心にぬくもりを持ってもらうこと」だとした上で、「死にたい」と思う自分自身を好きになれるよう働き掛けることを求めた。

(画像アイキャッチ兼用:自死・自殺の背景について語り合う竹本代表、オキタ代表、山本理事長、宇野研究員(左から))
自死・自殺の背景について語り合う竹本代表、オキタ代表、山本理事長、宇野研究員(左から)

 NPO法人「生きテク」のオキタリュウイチ代表は、自殺防止を呼び掛けるウェブサイトを2007年に開設し、困難を共有したりさまざまな問題の解決事例を知ってもらうことで、これまでに2万7千人以上の自殺を阻止した実績があるという。

 オキタ代表は「鬱(うつ)」という漢字の語源をひもとき「腐っていくという意味もあるが、破竹の勢いという意味もある。うつは変わっていくチャンスであり、決して恥ずかしいことではない」と語り掛けた。

 一般社団法人日本マミーボイスアカデミー協会の山本理恵理事長は、看護師として虐待やいじめの根絶を目指してきた。「加害者の背景を理解してあげることが必要」とした上で、心にあることを吐き出せる場所づくりが大切だと強調した。

 参加した20代の女性は「死は全ての人に関係あることだが、仲間内でも話す機会がない。こういう場があってよかった」と話した。

 イベントを企画した曹洞宗総合研究センターの宇野全智研究員は「これまでも自死・自殺予防の啓発の機会を設けていたが、当事者性の高い団体や人と連携することで、より大きな力になる。苦しみや生きにくさを感じたときの駆け込み寺が増えてくれれば」と話した。

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