2024年5月29日
※文化時報2024年4月12日号の掲載記事です。
真宗佛光寺派本山佛光寺(京都市下京区)で2日、宗祖親鸞聖人の生誕を祝う春法要が営まれた。渋谷真覚門主が導師を務め、門徒ら約90人が参列。法要後には真宗大谷派不遠寺(岐阜県高山市)の四衢(よつつじ)亮住職による記念講演が行われ、親鸞聖人が「同朋」と表現した言葉の意味について理解を深めた。
渋谷門主は御親言で、誕生はかけがえのない命を頂いてこの世に生まれてきた感動と喜びを表すが、「何のために生まれ、どこへ向かって生きるのか。私が私に成るために生きる道はどこにあるのか」と、いつの間にか思い悩む人間のありようについて語った。
その上で「親鸞聖人の立教開宗以来800年、先人たちはみ教えをよりどころに力強く生き、おみのりをつないできた。聞法によって今を生き抜く力を頂こう」と呼び掛けた。
四衢住職は「親鸞聖人が出会われた世界~問いを共にする」と題して講演。新型コロナウイルスがヨーロッパで爆発的に流行した2020年春、イタリアなどで「人工呼吸器を障害者や高齢者から取り外してでも若い人に渡すべきだ」といった考えが実践されたケースを紹介。「21世紀になっても優生思想に基づいた命の選別が行われた」と憤った。
また、力が支配する世界や人間の「五悪」がいかに愚かなことかを伝え「親鸞聖人はいかなる人も見捨てず、一人一人を受け止め、自分の命を狙った人も友とした。老若男女が平等に通じ合える世界、それが親鸞聖人の説く『同朋』の世界だ」と説いた。