2024年6月16日
※文化時報2024年4月30日号の掲載記事です。
大正大学(神達知純学長、東京都豊島区)は、外国人の子ども向けの「おうだい子ども日本語教室」を開催している。日本語教師を目指したり、多文化共生を学んだりする文学部の学生らが、大学周辺に住む中国、ネパール、ロシアなどの小中学生に日本語を教えており、好評を得ている。
地域貢献を目指す同大学の教育理念に基づくプログラムの一環で、2022年にスタート。当初の参加者は10人前後だったが、保護者の口コミなどで広がり、現在は多い時で20人に上る。日本以外にルーツを持つ子ども同士の交流の場にもなっているという。
今年度前期は4~7月の7回を予定。初日の4月13日には学生15人、子ども12人が参加した。子どもの日本語レベルに応じて個別・グループ学習を行い、日本語で算数などを教わる子もいれば、食べ物の絵を描いたカードと言葉を照らし合わせて学ぶ子もいた。
22年から参加している文学部日本文学科4年の村中花音さんは「何げなく使う日本語の意味をいざ伝えようと思うと、なかなか簡単ではない。改めて意味や語源を考え直す機会になっている」と話した。
中国ルーツの子どもに数学や理科を教えた同学科3年の三宅一華さんは「問題の意味を理解させないと、答えを導くのは無理。スマートフォンの翻訳機能を使いながら、注意深く続けたい」と振り返った。
プロジェクトを担当する中川祐治教授は「大学にとっては中間支援組織=用語解説=としての役割を果たす大切な場。持続可能な社会を実現するには外国人の受け入れが不可欠であり、日本語教育も重要になってくる」と話した。
【用語解説】中間支援組織
市民やNPO、企業、地域、行政などの間に立ち、さまざまな活動の支援や調整を行う組織。ネットワーク、コーディネート、政策提案、資金面の支援などの機能がある。「NPOのためのNPO」と呼ばれることもある