2024年8月17日
※文化時報2024年6月14日号の掲載記事です。
浄土宗大阪教区布教師会は6日、研修会「女性活躍社会とケアの時代」を開催した。上智大学グリーフケア研究所名誉所長で一般社団法人全人力を磨く研究所理事長のカトリック修道女(シスター)、髙木慶子(たかきよしこ)さん(87)を講師に招き、約50人が参加。男女共同参画とグリーフ(悲嘆)ケアについて学んだ。(大橋学修)
髙木さんは、長く続いた男性中心社会が、家庭で家事をする女性像を好ましいものとしてきたと指摘。女性が活躍する社会を男性が受け入れる必要性を示した。
その上で「男性と同じ働き方をする社会が、女性が活躍する社会ではない。男女は人間として平等だが、役割が違う」と強調した。
グリーフケアの必要性については「現代社会に生きる人々は、安らかな生活を望んでいるにもかかわらず、生きづらい思いを抱え、寄り添いを求めている」と分析。「ケアとは、その人をそのまま抱え込むことだ」と語った。
終末期の患者が抱える死への不安は、宗教者が持つ死後の世界観によって払拭されるとも伝えた。「生活の中に信仰があるのではなく、信仰の中に日々の生活がある。全ての次元でケアする者であるというのが、宗教者の姿だ」と訴えた。
さらに「宗教者は24時間365日、頂いた使命から逃げることができない。神は、傲慢(ごうまん)な私でも使ってくださっている。皆さんも、多くの人のために仏様が使ってくださっていることを自覚してほしい」と求めた。
大阪教区布教師会は今年度、グリーフケアを柱とした研修会を4回開催する予定で、今回が1回目。女性の寺院住職が増えれば、人口減少に伴う僧侶減少に歯止めを掛けることにつながるとあって、仏教界における男女平等参画に向けた考え方も学ぶ。