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原点見つめ未来へ 日本仏教看護・ビハーラ学会

2024年9月11日

※文化時報2024年7月2日号の掲載記事です。

 日本仏教看護・ビハーラ学会(会長・今井洋介長岡西病院緩和ケア科部長)は6月22、23の両日、龍谷大学大宮学舎(京都市下京区)で第20回年次大会「ビハーラの原点に返って未来へ~願われたいのちを共に」を行った。ビハーラ=用語解説=の提唱者で学会発起人代表の田宮仁(まさし)氏、同じく発起人代表で名誉会長の藤腹明子氏らが登壇。参加者らはビハーラについて改めて学びを深めた。(松井里歩)

 同学会は、田宮氏が「大切な人の命の問題や、日本的なターミナルケアの在り方について改めて取り組みたい」と考え、2004(平成16)年に設立。今井会長によれば、20周年の節目を迎えたことで、ビハーラの原点を振り返り、考え直す契機にしたいという。

登壇する田宮氏と藤腹氏(右から)
登壇する田宮氏と藤腹氏(右から)

 1日目の特別講演では、田宮氏が「仏教の中に仏教看護があり、その中にビハーラケアがある。仏教看護とビハーラケアはイコールではない」と強調。「ビハーラケアは、ビハーラという場におけるケアの総称。どこであっても実践できるものだ」と定義を述べ、活動の場所が緩和ケア病棟や福祉施設に限らないとの見方を示した。また、田宮氏は「ビハーラの概念は日本にうまく定着しなかった」と振り返り、その後の藤腹氏との対談でもビハーラや仏教看護が世間に広まっていないことを話題にした。

 藤腹氏は、仏教という言葉がつくだけで拒否感を持つ人や、仏教看護が看護学の授業で扱われづらいとされている現状があると分析。宗派や人によってそれぞれ特徴ある仏教看護論が生まれることを肯定しつつも「仏教看護を理論として確立していくことが、普及には必要となるだろう」と伝えた。

 長年看護学生らを教えていた経験を持つ藤腹氏は「医療という科学と、仏教という非科学をバランスよく身に付けた看護者を育てたい」と展望を語り、田宮氏は「看護師としてどうあるべきかを迷走してくれる看護師が一人でも増えてくれるとありがたい」と応じた。

【用語解説】ビハーラ(仏教全般)

 サンスクリット語で「僧院」「身心の安らぎ」「休息の場所」などの意味。仏教ホスピスに代わる用語として、当時佛教大学の研究員だった田宮仁氏らが1985(昭和60)年に提唱した。その後、医療・福祉と協働し、生死にまつわる人々の苦悩を和らげる仏教徒の活動を「ビハーラ活動」と称するようになった。

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