2024年9月20日
※文化時報2024年7月5日号の掲載記事です。
地域の人に親しんでもらおうと、真宗大谷派の大垣別院(王来王家(おくおか)純也輪番、岐阜県大垣市)が、隔月で「寺カフェ」を開いている。隣接する大垣幼稚園の保護者や親子連れ、年配の人らが本堂1階の広間に集まり、コーヒーやお菓子を食べながら談笑する憩いの場となっている。
大垣別院には直系の「直参(じきさん)門徒」がいない上、一般寺院の門徒や地域住民にとっては敷居が高いイメージのあることが課題だった。
元々は、大垣駅前の商店街が月に1度行う「元気ハツラツ市」に大垣教区の僧侶が相談スペースを設けていたが、コロナ禍で中止となるなど、教化活動が途絶えてしまっていたという。
寺カフェは、大垣教区の教化委員会と教務所職員らが中心となって企画。昨年から始まり、今年2月からは偶数月の朝と夜に開催している。
朝の部は、大垣幼稚園の園児を送り迎えする保護者の待合所としても機能。夜の部は現役世代の人を対象にしているが、浸透はこれからだ。
大谷派の年度は7月に始まる。年度最後となる6月13日夜の部には、20人近くが集まった。教化委員会のメンバーや門徒、地域住民らが、コーヒーや紅茶、茶菓子を片手に、近況を報告し合った。参加者の中には、親の看取(みと)りに関する経験を話す人もおり、「お寺はいろいろな方が相談に来られる場所だと分かった」との声も上がった。
スタッフとして参加する楽邦寺衆徒の禿奈穂さんは「参加者が自分らしくいられるような、尊ばれる場を開いていきたい。一つ一つ取り組みたい」。教務所の担当者は「7月からは開催回数を増やす。気持ちを表せる場になれれば」と話している。