2024年11月12日
※文化時報2024年9月13日号の掲載記事です。
真宗佛光寺派は3日、本山佛光寺(京都市下京区)で「僧伽(さんが)に学ぶ研修会 第500回記念講演」を開いた。元関西テレビアナウンサーで、現在はフリーアナウンサーとして活躍する桑原征平氏(80)が登壇。「生きてるだけで ぼろもうけ」と題し、前向きに生きることやご縁の大切さなどについて語った。
「僧伽に学ぶ研修会」は1982(昭和57)年から寺族や住職を対象に毎月開催。昨年4月からは「命を見つめ直す」を主題に、一般の聴講者にも門戸を広げた。さまざまな立場の講師が、それぞれの視点から課題や思いを伝えている。
桑原氏は聴講者57人を前に、半生を回想。大学卒業後に酒の卸売店に就職し、一升瓶10本が詰まった木箱を担いで配達に回っていたことや、100件以上の営業で門前払いを受けていた苦労の日々を伝えた。
2年が過ぎたころ、駄目元で応募した関西テレビのアナウンサー採用試験に合格。「人柄を面白がってもらえたこともあるが、営業で磨いた話術が生きた」と振り返った。
やがて冠番組を持ち、講演会などでも引っ張りだこになった。「収入が増えると、悪意のある人も寄ってくるようになる」と述べ、知らぬ間に3億円以上の借金を背負わされて定年退職まで返済に追われていたことなどを明かした。
退職後は無一文からのスタートになったが「悪いことがあれば良いこともある」と、前向きになることを忘れなかった。これまで築いた関係性の中で手を差し伸べてくれる人もあり、人生の失敗談などをネタにラジオパーソナリティーとして再出発。次第に仕事の依頼が増えた。桑原氏は「出会う人皆が先生。ご縁が今日の私をつくっている」と感謝し「酸いも甘いも人生」と笑った。
教学聞法推進室の吉田譲審議役は、今後の「僧伽に学ぶ研修会」について「多くの人は大小さまざまな不安や悩みを抱えている。課題を共感し合い、乗り越える糧となる機会をつくっていきたい」と抱負を述べた。