2025年10月13日
「今日はお風呂に入りたくありません」
いつもはお風呂が大好きで、率先して入浴したがる老人ホームの女性入居者がいきなりこう言いだしたので、ホームのスタッフは皆びっくりです。

いや、彼女だけではありません。ほかの女性入居者も口々に入浴を嫌がりました。とはいっても、いつまでもお風呂に入らないというわけにはいきませんので、この「集団入浴拒否騒動」は1週間ほどで終わりましたが、一体何が原因だったのでしょうか。
実は、この日老人ホームでは「出張メイク」のレクリエーションが行われました。美容師やネイリストなどの専門家が、入居者一人一人にメイクやネイルケア、エステなどをしてあげるという最近はやりのレクリエーションです。参加者の中には「20年ぶりにメイクをした」という人もいて、きれいになった姿を写真に撮ってもらうなど大喜びでした。
しかし、お風呂に入るときにはメイクを落とさなくてはなりません。そして、次にいつメイクをできるのか分かりません。「いつまでもきれいなままでいたい」という女心が、入浴拒否につながってしまいました。
ネイルケアも同じです。塗ってもらったマニキュア・ペディキュアがボロボロになって剝がれるまで、入居者は大事にします。
しかし、老人ホームにとっては、爪の状態は入居者の健康状態を確認するチェックポイントの一つです。色や艶などを把握するために、スタッフが一人一人マニキュアを落として回らなくてはなりませんでした。
「マニキュアを塗りに来てくれるのは入居者が喜ぶのでとてもありがたいです。でも3日後ぐらいに落としに来てくれないと、こちらの仕事が増えるので…」と、スタッフは嘆いていました。