2025年11月8日
介護業界ではここ10年ほど、企業の合併・買収が相次いでいます。パターンはさまざまですが、2000年の介護保険制度創設に合わせ「社会貢献を」と介護事業を始めた重厚長大産業の会社が、「社会的使命は果たした」として、介護・福祉を専門に手掛ける企業に譲渡するケースが目立ちます。

つい先日も日本を代表する大手・有名企業が運営する高級有料老人ホームが、複数の介護事業所や医療機関を運営するグループの企業に買収されました。
運営法人が変更される場合は、入居者や家族に向けた説明会が行われます。もちろん、このホームでもそれを行いましたが、その回数は実に7回にも及びました。
その理由は、単純に大規模ホームで関係者の数が多かったこともあります。しかし、それよりも入居者が「自分は超一流企業運営のブランド性があるから入居した。それをどこの馬の骨とも分からない企業に売却するとは何事だ」と猛反発したのです。
新しくオーナーになる会社は業界内では有名ですが、一般消費者の間での知名度は皆無です。高級ホームですから入居者や家族の中には元経営者や現役の経営者も少なくありません。新オーナーとなる企業の財務状況を細かくチェックするなど、譲渡が決まるまで大騒ぎだったそうです。
当初反発していた入居者・家族を納得させたのは「今の会社はこのホームしか運営していないが、新しいオーナーは多くの高齢者住宅を運営している。食材や消耗品の仕入れなども共同購入で安く行えるようになるため、物価高が続く中でも安定した経営を行うことができる」という説明でした。
新オーナーは今後このエリアで複数の買収を計画しており、今後はそうしたスケールメリットがより生かせるようになりそうです。