2025年12月18日
デイサービスの楽しみには、レクリエーションやおいしい食事、他の利用者とのおしゃべりなどがありますが、入浴もその一つです。古い日本の家の浴室は、浴槽が深いなど高齢者が入るには危険なこともあるため、家では風呂に入らずにデイサービスを唯一の入浴の機会にしている利用者も少なくありません。

あるデイサービスでも、毎日のお風呂が利用者の大きな楽しみとなっていました。
いつものようにスタッフが入浴後の利用者の髪の毛をドライヤーで乾かしていると、ある男性利用者から「俺にもやってくれよ」と声がかかりました。
ところが、この男性利用者は毛髪が全くありません。もちろん普段はドライヤーを使いません。とはいうものの、「○○さんにはいらないですよね」とストレートに言うわけにもいきません。苦笑しながらも「○○さんも乾かしますね」と声をかけます。
「おう、頼むよ。俺も同じ料金払ってるんだから、平等でなくっちゃね」
温風を直接頭皮に当てては熱いだろうとドライヤーを「冷」に切り替えて、そよそよと風を送ります。
男性は「気持ちよかったよ。ありがとう」と満足そうな表情を見せましたが、いつもはこんなことを言わない利用者が、なぜ今日に限ってドライヤーを希望したのでしょうか?
実は、この日ドライヤーを担当したのは、愛くるしい笑顔で男性利用者からの人気が高い女性スタッフでした。髪を乾かしてもらうのは、パート勤務で出勤日数が少ない彼女を独り占めして話ができる貴重な時間だったのです。
「私が担当すると、こうした要望がよくあります。男性の利用者さんは、普段は無口ですが、いざとなるとかまってほしがる人がとても多いんですよ」と、彼女は語っていました。