2024年12月4日 | 2024年12月13日更新
私の持っているものが私を意味するならば、持っているものを失った私は誰なのだろう
――社会心理学者、エーリッヒ・フロム(1900~80)
多様性という言葉が世間に周知され、個人のアイデンティティーを確立することの重要性が唱えられる昨今、「自分とは何か」「自由な社会とはどのようなものか」といった問題に悩む人は多いのではないでしょうか。
エーリッヒ・フロムは、人々の生活が多様に変化し、人々が自由を得たはずの社会で、孤独と不安を抱える人々が増えていくことを指摘しました。
そして、悩みを抱えた人々は安心感を得るため自ら他人に従属し、多様性ではなく独裁者を求める傾向があると分析します。
ドイツで生まれたユダヤ人として、ナチス政権の台頭を目の当たりにしてきた彼は、政治思想と精神分析を結び付けることで、国や社会といった大きな枠組みが、個人という小さな枠組みに与える影響について考察したのです。
そんな彼は、社会を生きる人々の本当の自由と愛について追究し、個人と社会、自由と愛について、多くの名言を自身の著作に残しました。
人々が自由を求め多様性のある社会を目指す現代で、フロムの言葉は、改めて自分の個性と自由について考える手がかりになるかもしれません。