2025年7月10日
※文化時報2025年4月15日号の掲載記事です。
私事で恐縮ですが、本日満60歳の誕生日を迎えることができました。私が生まれたのは1965(昭和40)年4月15日。干支(えと)が一巡して還暦となりました。記念すべき日が小欄連載101回目と重なり、気持ちを新たに筆を進めていきたいと思います。実際はキーボードをたたいているのですが。(笑)

私の父は満59歳で命終しました。これで父より長生きしたことになります。妹がお祝いにと阪神タイガースの公式戦チケットをプレゼントしてくれました。今年は特に入手が難しくなっています。せっかく手にしたチケットを気前よくプレゼントしてくれたのですから、とてもうれしい気持ちになりました。
昔、まだ高校生だった妹を甲子園球場のライトスタンドへ連れていったことがあります。
当時は平日であれば当日券で入場でき、外野は自由席でした。席取りのテープがあちらこちらに貼られていて、試合前から強烈なヤジが飛び交っていたことを覚えています。
先日訪れた数十年ぶりのライトスタンドは観客のマナーがすこぶるよろしく、タイムスリップしたようなショックがありました。これなら女性同士や子ども連れでも安心して観戦できます。テーマパークへ来たような楽しさがあります。半面、選手を鼓舞するような厳しさがなくなっている気がして寂しくもありました。
ちなみにその日はタイガースが負けました。素直に受け入れられない私の心が露見しました。他の観客も同じ気持ちだろうと思いますが、そんな気持ちを露骨に表している人などいませんでした。
野球の試合はホームランもあればエラーもあります。観客は一喜一憂します。それらを全て受け入れて拍手をすれば、点数による勝ち負けを超えて「ああ楽しかった」と球場の門から出ることができるのでしょう。ライトスタンドの観客全員がそんな境地に達しているかのような光景でした。
妹からの還暦祝いが、思わぬ発見につながりました。今日から第二の人生を歩み始めます。