2025年2月4日
以前、このコラムで京都ならではの高齢者住宅の入居者募集・入居者満足度向上のためのちょっとした取り組みについて紹介しました(※「難関の京都進出に中堅老人ホームが成功 要因は?」)。それ以外にも、京都の高齢者住宅には、ほかの地域とは異なる独自の運営ノウハウが必要なようです。
例えば食事。高齢者住宅を広域で多数展開し、同じ給食会社を使っている介護事業者でも、京都だけは「京野菜など地元の食材を使う」「毎月1日には赤飯を出す」など、地元の食生活に合わせた特別な対応をしているケースがあります。
次に、建物の設計です。「五山の送り火が見えること」を住まい選びの第一条件にしている人が多く、高齢者住宅でも、わざわざフロア形状や窓の位置を工夫して、送り火が見える部屋を設けているケースが少なくありません。事実、そうした部屋から真っ先に埋まっていくのだとか。
要介護・要支援でない人も入居が可能な高齢者住宅では、「80歳になったら入居しようと考えているが、その時に送り火が見える部屋が空いていなかったら困るから」と、実際には住んでいないのに、毎月の家賃を払って何年間も部屋を押さえている人もいるそうです。
そして、京都の場合には「昔から、老後は京都で暮らしたいと考えていた」と憧れて、京都以外から、中には海外から引っ越してくる人もいます。
ある有名なお寺のすぐ近くにある高齢者住宅では、そうした人が京都旅行のついでに見学に来ることが多いのだとか。「春と秋の観光シーズンは、ホームの見学スケジュールも分刻みの忙しさになります」と語っていました。