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お寺と福祉の情報局

【今さら聞けない】地域包括ケアシステムとは

2023年11月22日

▼地域包括ケアシステム
 誰もが住み慣れた地域で自分らしく最期まで暮らせる社会を目指し、厚生労働省が提唱している仕組み。医療機関と介護施設、自治会などが連携し、予防や生活支援を含めて一体的に高齢者を支える。団塊の世代が75歳以上となる2025年をめどに実現を図っている。

地域包括ケアシステム
地域包括ケアシステム(イメージ)

 地域包括ケアシステムは、住まい、医療、介護、介護予防、生活支援の五つの要素から構成され、要介護状態の高齢者も地域の中で自分らしく生活できるような環境づくりを目指すものです。

 このシステムは以下の三つのプロセスによって構築されます。

 まず、日常生活圏域ニーズ調査、地域ケア会議などを行い、地域の課題を把握し、医療や介護などの社会資源を確保します。

 次に、介護保険事業計画の策定などの具体的な対応策を検討します。

 そして具体策に基づき、住まい、医療、介護、介護予防、生活支援が一体となって高齢者の生活を支えます。

 市町村は、地域の高齢者を総合的に支援する「地域包括支援センター」を設置しています。保健師・社会福祉士・主任介護支援専門員などが配置され、住民の医療や福祉をサポートします。

背景:病院死の限界

 厚生労働省の調査「死亡の場所別にみた死亡数・構成割合の年次推移」によると、1951(昭和26)年の日本では80%以上の人が自宅で亡くなっていました。しかし医療の進歩に伴い病院で最期を迎える人が増え、1975(昭和50)年ごろには自宅で死亡する人の割合が医療機関などで死亡する人の割合を下回りました。2009(平成21)年の時点では、自宅で死亡する者の割合は約12%にまで低下しました。
 
 この背景には、自宅での死を望む人も病院に入らざるを得ないという問題がありました。在宅で十分な医療・介護サービスを受けられる環境が整っていなかったため、家族への介護負担の心配や医師の勧めにより、多くの高齢者が病院や介護施設での生活を選んできたのです。

 2025年に団塊の世代が75歳以上になり、2043年に65歳以上の人口がピークを迎えます。この超高齢多死社会では病院だけに頼るのではなく、高齢者が最期の時まで尊厳を守り、自分らしく生きられる環境づくりが求められます。

 そのため、従来の「病院完結型」の医療から、地域全体で高齢者を支える「地域完結型」の医療へと、体制の再構築が急務となります。

課題:「全国共通」にできない

 地域包括ケアシステムは多くの地域で構築途中であり、課題も多く残っています。

 システムの担い手となる高齢者本人、医療従事者、介護従事者、地域包括支援センター、自治体などの連携を強化しなければなりません。高齢者の生活を守るためには、システムを構築する住まい、医療、介護、介護予防、生活支援が一体となってサポートすることが重要です。

 さらに、過疎化が進む現代では、地域によって高齢化の進行度が全く異なります。全国共通の仕組みをつくることができず、それぞれの地域の実情に即したシステムを構築しなければならないのです。その地域に住む高齢者がどのようなニーズを持っているのか調査する必要があります。

 全国的には、どこの市町村でもシステムの担い手を確保するのが難しくなるでしょう。2043年に向けて高齢者が増えるにつれ、生産年齢人口がどんどん減少します。「地域完結型」の医療を提供するためには、長期的な視点から医療従事者や介護従事者を確保しなければなりません。互いに生活支援を担う地域住民も減っていくでしょう。

 地域包括ケアシステムは、超高齢多死社会において重要な役割を担うシステムです。課題を解決しより良い地域を作るためには、地域住民、医療従事者、介護従事者、自治体など地域に関わる全ての人の協力が不可欠です。

参考リンク

 

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