2024年5月30日
新型コロナウイルスが感染症法上の5類になって間もなく1年。大規模なイベントや外出レクリエーションの再開など、老人ホームにもようやく「日常」が戻りつつあります。入居している人、その家族、働くスタッフにも笑顔が増えてきています。
このように喜んでいる人の中には、意外な顔もあります。それは「ホーム見学荒らし」とでも呼ぶべき人たちです。
コロナ前はどこのホームも見学を積極的に受け入れていました。特に入居金が何千万円もする高級ホームでは、自慢の共用スペースを実際に見てもらうことが入居するかどうかの判断に大きく影響するため、高級レストランさながらの食事を実際に味わってもらったり、さまざまなグッズをお土産として持って帰ってもらったりと、見学対応に力を入れていました。もちろん見学は無料です
そうなると出てくるのが、食事やお土産を目当てに、入居するつもりもないのに見学をする人たちです。実際にそうした「被害」に頭を悩ませたホームでは、食事については有料にしたり、悪質な見学者のブラックリストを作成して地域のホーム間で共有したり―といった対策を講じてきました。
コロナ禍では、どこのホームも見学を大幅に制限していましたので、こうした悪質な見学者も鳴りを潜めざるを得ませんでした。
しかし、見学が再開されました。それだけではなく、コロナ禍で新規入居が進まなかったホーム側は、少しでも空室を埋めたいと焦っています。また、3年の間にホーム長や営業担当社員が異動・退職するなどして、後任者が要注意人物を把握してない可能性もあります。
こうした状況を好機と捉え、「ホーム見学荒らし」が再び跋扈(ばっこ)することになるかもしれません。