2024年12月8日
今年の夏は、都市部を中心に、スーパーマーケットなどの店頭から米が消えるというちょっとした騒動が起こりました。学校給食や社員食堂ではパンや麺類といった代替メニューを増やしたり、まちの飲食店ではご飯の大盛り・お替わり自由のサービスを休止したりして、乗り切ったところも多かったようです。
高齢者住宅ではどうだったのでしょうか。利用者は「パンよりお米」という世代がまだまだ多いこともあり、メニューの切り替えが簡単には進まず、米不足は頭の痛い問題だったようです。
それでも何とかしようと、それまでは福利厚生の一環としてスタッフは利用者と同じ食事を1食300円程度で食べることができていたのを、一時的に中止・値上げせざるを得なかったところもありました。
そもそも高齢者住宅の中には、米にこだわりを持っているところが少なくありません。近隣農家と提携して無農薬の米を直接提供してもらったり、自社で農園を持って栽培を委託したりしているところもあります。「利用者の中には現役の農家や元農家、実家が農家という人も多く、米の味にうるさい」というのが大きな理由だとか。
大阪市内のある高齢者住宅もその一つ。入居費用は安価で、サービス内容もごく一般的なホームですが、社長が米に強いこだわりを持っています。
その判断基準は「冷めてもおいしく食べられる銘柄であるかどうか」という点。高齢者はどうしても食事に時間がかかります。せっかくの炊き立てのご飯も食べ終わるころにはすっかり冷めてしまっているかもしれません。「それでも少しでも食事を楽しんでもらえれば」とのことでした。