2024年12月27日
※文化時報2024年10月22日号の掲載記事です。
子ども食堂=用語解説=の支援活動を行う認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ(湯浅誠理事長、東京都渋谷区)は「こども食堂の現状&困りごとアンケート」の調査結果を発表し、物価上昇の影響を感じているとの回答が9割近くに上っていることを明らかにした。
調査は7月27日~8月19日にオンラインで行い、1307件の回答があった。物価上昇の影響を感じているとの回答は88.5%で、それでも開催頻度や料金・食事内容などを変更していないという回答は全体の66.8%を占めた。
一方、困り事の中で「食材の不足」を挙げたのは31.4%。2022年ごろと比較して物資・食材の寄付状況が「減っている」との声は56.5%を占めた。コメ不足を訴える団体が多かったほか、このままだと会食回数や人件費を削減するなど何らかの工夫をせざるを得ないという声もあった。
また、ITツールを活用し会員制交流サイト(SNS)による情報発信を充実させたいのに、スキルや資金に課題があるとの回答もあった。
こうした実情を踏まえて、むすびえは緊急支援策としてコメを調達し、冷蔵庫400台を寄贈する計画を発表。コメについては独自調達のほか、政府備蓄米の申請方法などの説明会を9月に実施した。
9月24日に東京都内で行われた記者発表会では、宗教法人が関わる子ども食堂についても言及があった。子ども食堂の運営母体としては全体の数%に過ぎないが、会場提供やさまざまな支援に関わる宗教法人は多く、広報担当の江副真文氏は「宗教や宗派を問わず、地域コミュニティーの重要な核になる傾向が見られる。一方、入信への勧誘などを心配する声も少なからずある」と話した。
【用語解説】子ども食堂
子どもが一人で行ける無料または低額の食堂。困窮家庭やひとり親世帯を支援する活動として始まり、居場所づくりや学習支援、地域コミュニティーを形成する取り組みとしても注目される。認定NPO法人「全国こども食堂支援センター・むすびえ」の2023年の調査では、全国に少なくとも9132カ所あり、宗教施設も開設している。