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「お寺の薫り」を探究 京大研究員、龍大と協力

2025年1月14日

※文化時報2024年11月1日号の掲載記事です。

 京都大学人と社会の未来研究院の水野久代研究員らが進める「お寺の薫りプロジェクト」を巡る2回目の研究発表が10月22日、同大学稲盛財団記念館で行われた。「お寺×薫り×サイエンス2~生態学と仏教から考えるかおりのコミュニケーション」と題し、プロジェクトの報告や、植物の香りと生物の関係についての講演があった。(松井里歩)

 プロジェクトは水野研究員を中心に、京都大学と龍谷大学の研究者らが共同で進めている。お寺の香りの成分を分析し、人間にどのような影響を与えているのかを知ることで、ウェルビーイング=用語解説=などへの貢献を視野に入れている。

(画像:水野久代研究員)
水野久代研究員

 報告で水野研究員は、龍谷大学の3学舎にある仏式礼拝堂の香り成分を分析したところ、法要時と平常時に加えて季節によっても結果が異なっていたと明らかにした。堂内の香りがお香以外の影響も受けているとみられ、引き続き複数のお寺で香りのサンプルを抽出しているという。

 講演では、京都大学生態学研究センターの髙林純示名誉教授が登壇し、植物の香りがさまざまな生き物のコミュニケーションを媒介しているという研究について解説した。

 幼虫に食べられた葉っぱが食べられなかった葉っぱと違うにおいを発し、幼虫の種類によってもにおいが異なることから、植物が幼虫の唾液成分を識別できているのではないかとの仮説を紹介した。

(画像アイキャッチ兼用:仏教や生態学の専門家らが総合討論を行った)
仏教や生態学の専門家らが総合討論を行った

 総合討論では、京都大学人と社会の未来研究院の亀山隆彦特定准教授が「仏典では、法華経を携えて修行をすると感覚が敏感になり、天や菩薩のにおいもかぎ分けられるとの記述がある」と述べ、研究の広がりに期待を示した。

【用語解説】ウェルビーイング(well-being)

 一人一人が健康である状態。身体的な健康だけではなく、精神的・社会的にも満たされている状態にあることを指す。持続可能な開発目標(SDGs)で17の目標の一つとして掲げられている。人生100年時代に向けて、全ての人が自分らしく健康でいられる社会の実現が図られている。

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