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交通考える「モビリティロゲイニング」学生が考案

2025年1月17日

※文化時報2024年11月5日号の掲載記事です。

 過疎地域でさまざまな交通手段の価値に気付いてもらおうと、真宗大谷派の宗門校、大谷大学(京都市北区)は10月19日、京都府京丹後市で学生オリジナルのゲーム「モビリティロゲイニング」を行った。スタンプラリーのような野外活動ゲームで、市民と学生ら約40人があらゆる移動手段を駆使して市内のチェックポイントを巡った。(高田京介)

 モビリティロゲイニングは、大谷大学社会学部コミュニティデザイン学科の学生が考案。地図で示されたチェックポイントを、時間内にできるだけ多く回って得点を集めるスポーツ「ロゲイニング」に、乗り物を意味する「モビリティ」を付け加え、交通手段を使うところに独自性がある。

 今回は京丹後市全域の地図に、地元の神社やショッピングモール、ファストフード店、ホテルなど計35のチェックポイントを記載。1カ所当たりの得点は10~70点で、地元住民と会話すれば加算されるようにした。鉄道やバス、配車サービスなどの使用回数は各2回に制限された。

(画像アイキャッチ兼用:チェックポイントを巡ってゲームを楽しむ参加者たち=10月19日、京都府京丹後市の金刀比羅神社)
チェックポイントを巡ってゲームを楽しむ参加者たち=10月19日、京都府京丹後市の金刀比羅神社

 参加者らはチームに分かれ、午前10時半に市役所を出発。地図を見ながら移動手段について相談し合うなどし、午後4時半までの間、ゲームを楽しんだ。大谷派東北教区の寺院出身で3年生の赤羽根美乃(よしの)さんは、過疎地域振興に関わる政策提言を行おうと、プロジェクトに参加した。「地域の方々との関係性をどう築けばいいか、学ぶことができた」と笑顔を見せていた。

車社会に一石投じるか

 京丹後市は2000年代にタクシー事業者が撤退。労働基準法改正に伴う時間外労働の見直しによって運転手が不足する「2024年問題」のあおりで、地元のバス会社が今年、路線の廃止や減便を決めた。第三セクターが運営していた鉄道事業は15年に大阪のバス大手の子会社に運営主体が変わった。

 市議会議員の由利(ゆり)彰基さんは「京丹後市は車社会。高齢化で運転免許の返納が進む一方、交通手段の空白化が目立つようになった」と語る。

 こうした中、一般ドライバーが自家用車を用いて住民たちを有償で運ぶ「ライドシェア」の先行事例として、「ささえ合い交通」という取り組みが16年に開始。21年には、人工知能(AI)を用いた定額型の配車サービスアプリ「mobi(モビ)」がリリースされた。

 今回のゲームに参加した介護職の40代女性は「高齢の方にはアプリがあることを知られていない。モビリティロゲイニングを通じて教えられれば」と話した。

 大学が立地していない京丹後市は、市全体を学びのフィールドと位置付けて大学や学部の垣根を越える「夢まち創り大学」の構想を打ち出し、官学連携に力を入れている。

 宗教系の大学では、同志社大学や龍谷大学、佛教大学もプロジェクトを行っている。

 大谷大学は交通政策や買い物アクセスなど五つのテーマで自治体への提言を目指している。野村実講師は、通勤・通学の主な交通手段にバスや鉄道を挙げた市民がわずか6%だったという調査結果を紹介した上で「こうした地域の意識にどう関わっていけるかが課題」と話した。

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