2025年1月24日
※文化時報2024年11月12日号の掲載記事です。
医療や福祉の現場に僧侶が入るビハーラ活動=用語解説=を通じた多職種連携を目指す任意団体「チームビハーラ関西」が3日、大阪市天王寺区の浄土宗銀山寺(末髙隆玄住職)で勉強会を行った。福祉職を中心に、約30人が参加し、認知症になった人への意思決定支援について学びを深めた。
チームビハーラは日蓮宗上行寺別院(千葉県船橋市)の遠山玄秀副住職が2012(平成24)年ごろに関東で立ち上げ、関西では福祉職や終活関連の事業者などが、コロナ下を除いて毎年勉強会を開いている。
今年は、本人が何かを決める際にサポートする意思決定支援がテーマ。若年性認知症当事者の下坂厚氏▽認知症看護認定看護師の福岡裕行氏▽司法書士の福村雄一氏▽淀川キリスト教病院緩和医療内科の池永昌之氏―の4人がそれぞれ講演し、全員でクロストークを行った。
このうち福村氏は、金融機関による本人への意思確認の水準は上がっており、家族が代わりに預貯金を引き出すことは難しくなっていると指摘。「財産があることは大事だが、あらかじめ使えるように、渡せるようにしておくことがもっと大事」と述べた。
池永氏は、アドバンス・ケア・プランニング(ACP)=用語解説=が病院の都合で行われ、本来とは異なる趣旨になっているのではないかと問題提起。急性期医療の現場では来院時に意識レベルが低下していることが多く、「本人の人生をたどりながら、選択を推定していくことが今後は重要になる」と語った。
【用語解説】ビハーラ活動(浄土真宗本願寺派など)
医療・福祉と協働し、人々の苦悩を和らげる仏教徒の活動。生老病死の苦しみや悲しみに寄り添い、全人的なケアを目指す。仏教ホスピスに代わる用語として提唱されたビハーラを基に、1987(昭和62)年に始まった。ビハーラはサンスクリット語で「僧院」「身心の安らぎ」「休息の場所」などの意味。
【用語解説】アドバンス・ケア・プランニング(ACP)
主に終末期医療において希望する治療やケアを受けるために、本人と家族、医療従事者らが事前に話し合って方針を共有すること。過度な延命治療を疑問視する声から考案された。「人生会議」の愛称で知られる。