2025年3月6日
※文化時報2024年11月29日号の掲載記事です。
浄土宗西林寺(大﨑順敬住職、大阪府岬町)は10日、交流イベント「みらいまるしぇ」を開いた。今年で3回目となり、来場者数は年々増加。地域の行事として定着してきたことから、今後はお寺が徐々に運営から撤退し、地域主導で開催されることを目指す。(大橋学修)
境内や本堂裏側の多目的ルームには、手作りの小物などを販売する露店やブースが並び、隣接駐車場ではたこ焼きなどの飲食物を販売。本堂では、ウクレレ演奏やフラダンスなどが披露された。
昼前に行った念仏体験では、大﨑住職が「コイが竜になるように、誰もが仏になれる。それが、木魚に魚が彫られている理由」と伝え、念仏を唱えるときは他の人と音や心を合わせるようにと説いた。
その後、大﨑住職は腹話術を披露。小僧姿のくぐつ人形「チンゲン君」との軽妙なやり取りに、子どもも大人も笑い声を響かせた。
西林寺のある岬町の人口は1980(昭和55)年の2万2864人をピークに減少を続けており、今年10月末現在で1万4331万人となった。少子高齢化と過疎化により、最寄りに当たる南海電鉄淡輪(たんのわ)駅周辺もさびれつつある。
「みらいまるしぇ」は、そうした状況を懸念する地域住民の谷地愛さんが、活性化を目指して町内で不定期に開いてきた。
2022年からは西林寺が協力して毎年同寺で開催。会員制交流サイト(SNS)やブログなどを通じて話題となり、地域の外からも人が訪れるようになった。
西林寺が会場となったのは、大﨑住職の妻智子さんが客殿で毎週金曜と土曜に開く寺カフェ「キリーク」の存在が大きい。「人と人を結ぶ、繋(つな)げる、広げる」をコンセプトに、お寺で活動したい人をSNSで募集し続けている。
開かれたお寺として認知されるのに一役買ってきた寺カフェだが、今後は活動を抑制する方針。地域の人々を主役にしたいと考えるからだ。大﨑住職は「ここからはお寺が動くのではなく、地域の人たちが主体的に動くようにしたい。お寺は本来、そういうものだったと思う」と話している。