2025年3月2日
※文化時報2024年12月13日号の掲載記事です。
障害のある人やひきこもり当事者の「親なきあと」について考えようと、日蓮宗上行寺船橋別院(千葉県船橋市)は11月30日、家族や支援者らが集う「親あるあいだの語らいカフェ」を開いた。障害のある人の認知症について学ぶ講演会やゴスペルライブなどが催され、参加者らは実りある一日を過ごした。(主筆 小野木康雄)
講演会の講師は、作業療法士として認知症治療病棟で働く岡野朋子さん。ダウン症の長男(26)がおり、専門職と障害者家族の両方の立場にある。
岡野さんは、知的障害や精神障害のある人にとっては感情のコントロールなど元々苦手なことがあるため、認知症になっても気付かれにくいと指摘。一方、統合失調症の人は興奮状態が和らぐ場合もあると明かした。
また、65歳を境に障害福祉サービスから介護保険サービスに切り替わることを念頭に置いた切れ目のない支援や、当事者だけにとどまらない「家族丸ごと支援」の重要性を強調。「家族ができないことをサービスで補うのではなく、持続可能な介護のために、支援機関に相談してほしい」と呼び掛けた。
カフェタイムには遠山玄秀副住職をはじめ12人が参加。家族や自分自身が抱える生きづらさに関する話題となり、それぞれが感じていることや思いを話すとともに、互いの話に耳を傾けた。
ゴスペルライブには、地元船橋市の教会などで活動する北習志野ゴスペルクワイアと三咲ゴスペルクワイアの14人が出演。本堂の高い天井にキリスト教音楽の清らかな歌声を響かせた。
北習志野ゴスペルクワイアのメンバーで、一般財団法人お寺と教会の親なきあと相談室(京都市下京区)の顧問兼アドバイザーを務める友野剛行さんが間を取り持ち、仏教寺院でのライブが実現した。
一同はピアノの伴奏で「オー・ハッピー・デイ」やクリスマスをテーマにした楽曲など5曲を熱唱。聴衆が歌声に応答するコールアンドレスポンスに手話を取り入れるなどし、本堂は一体感に包まれた。
ディレクターとしてクワイアを指導する宮宇地寛子さん(49)は「遠山副住職をはじめ、お寺の皆さんが分け隔てなく笑顔で受け入れてくださったので、安心して歌うことができた」と、充実した表情を見せた。