2025年3月22日
※文化時報2024年12月17日号の掲載記事です。
真宗大谷派僧侶の三浦紀夫さんが代表理事を務める一般財団法人安住荘は5日、聞法道場「あかんのん安住荘」(大阪市平野区)でいのちを考える座談会を開き、薬物・アルコール依存の経験のある渡邊洋次郎さんを講師に招いた。文化時報のコラムニスト同士によるコラボレーション。「生き直し」に向かって懸命に歩む渡邊さんの力ある言葉に、約20人が耳を傾けた。
渡邉さんは中学の頃に薬物中毒になり、卒業後に4回の少年鑑別所入所と中等長期少年院入所を経験した。20~30歳で計48回、精神科病院に入院。30歳からの3年間を刑務所で服役し、2008(平成20)年の出所後、酒や薬が止まった。18年から依存症回復支援施設で働いている。
講演で渡邊さんは、子どもの頃、親に「寂しい」と伝えると迷惑をかけると考えて、気持ちを表に出さなくなったと振り返った。他人から関心を持ってもらいたくて非行に走り、しらふの状態になるのが嫌で薬物とアルコールに溺れたと明かした。
自傷行為も繰り返していたが、その理由を「自分の体に傷をつくり、気持ちを全部詰め込んで、かさぶたでふたをしたかった。なかったことにしたかった」と説明した。
また、薬物・アルコール依存を何とかしたいと思いつつも、依存症であることをなかなか受け止められず、「刑務所の独房で初めて生き方を改めたいと思うようになった」と回顧。見返りを求めない自助グループの仲間たちに出会って、自分を愛せるようになったと語った。