2025年5月23日
※文化時報2025年2月4日号の掲載記事です。
真宗佛光寺派は1月22日、本山佛光寺(京都市下京区)で「僧伽(さんが)に学ぶ研修会」を開き、社会福祉士・保育士でこども家庭庁参与の辻由起子氏(51)が「『いのちまんなか』社会のつくり方」と題して講演した。
辻氏は高校卒業後、18歳で結婚。翌年に娘を出産したが、育児に無関心な夫が行方をくらまし、23歳の時にシングルマザーとなった。両親から勘当され実家を出たものの、子育ての大変さを語り合える場がなく、周囲から「母親だからしっかりしなさい」「愛があれば頑張れるでしょう」と言われ傷つく日々だったという。
講演で辻氏は「『助けて』と言える居場所づくりの必要性を強く感じたことが活動の原点」と指摘。「母親たちが安心安全な社会生活ができるコミュニティーづくりには、地域の多世代との交流が不可欠」と語った。
その上で「仏教が説くのは、地縁や血縁、仏縁をも超えて人々が助け合える理想の社会」と強調。自身が浄土真宗本願寺派の信仰のあつい地域で育ったことを引き合いに「活動は、幼少期から私という人間を形成した仏教の教えを再確認する意味もある。『無縁社会』を『援助社会』に変えていく」と力を込めた。