2025年6月17日
※文化時報2025年3月7日号の掲載記事です。
真宗佛光寺派は2月26日、本山佛光寺(京都市下京区)で「僧伽(さんが)に学ぶ研修会」を開き、浄土真宗本願寺派布教使で認定NPO法人京都自死・自殺相談センター(Sotto)相談員の安部智海氏が、東日本大震災の被災地支援から得た気付きなどについて話した。
全3回にわたる連続講座の1回目で、24人が聴講。生きづらさや苦悩を抱える人の気持ちに寄り添う大切さを学んだ。
安部氏は東日本大震災の直後から、宮城県名取市の閖上(ゆりあげ)地区を拠点に仮設住宅の訪問活動を開始。他のボランティア団体から敬遠されていた情緒不安定な被災者の居室も訪問した。
当初は物おじしたが、先輩相談員に「そういう所にこそ行く意味がある」と諭され、真摯(しんし)に思いを受け止める先輩の姿と徐々に和らいでいく被災者の表情などから、活動の意義を理解したと明かした。
被災者らの苦悩を受け止め、宗派を超えた僧侶有志で海に向かってお経を唱えたこともあった。写真で活動を知ったある高僧から「本尊のいない方向を拝むとは何事か」と苦言を呈されたこともあったという。
安部氏は「写真に写らない所には、涙ぐんで手を合わせ、読経に感謝する遺族が大勢いた。思いを向ければ思いが返ってくる。傾聴は一方通行ではない」と力を込めた。