2025年7月22日
※文化時報2025年4月22日号の掲載記事です。
マルシェをきっかけに死別などのグリーフ(悲嘆)について知ってもらおうという「おかざきグリーフケアマルシェin本光寺」(実行委員会主催)が12日、愛知県岡崎市の真宗大谷派本光寺(稲前恵文住職)で開かれた。講演やコンサート、子ども向けのワークショップなどが行われたほか、境内にキッチンカーや露店が並び、地域住民ら300人以上でにぎわった。

稲前住職と訪問看護師の田中美穂さん(57)、一般社団法人日本グリーフ専門士協会(東京都台東区)が認定する「グリーフ専門士」の熊谷実幸さん(54)らが初めて企画。地元の地域包括支援センター=用語解説=や岡崎市社会福祉協議会、岡崎市役所などが協力した。
オープニングとして、本堂でグリーフケアに関する講演が行われ、熊谷さんが登壇。死別などを経験した人が抱えるグリーフは一人一人異なること、少しずつ受容して前向きになることを説明し「サポートする側は必要以上に励まさず、共感を持って心に寄り添うことが大事」と呼び掛けた。会場からは次々と質問が出て、関心の高さがうかがえた。

体験コーナーには、一般財団法人お寺と教会の親なきあと相談室(京都市下京区)も参加。障害のある子やひきこもり当事者の「親なきあと」について、関心のある人たちが思いを分かち合う「親あるあいだの語らいカフェ」を開いた。
稲前住職は「お互いがグリーフを思い合い、寄り添い合う関係性をつくりたい。今回のマルシェでは、グリーフケアという言葉や理屈だけでなく、そうした関係性を大事にする雰囲気や空気を感じ取っていただけたのではないか」と話した。
【用語解説】地域包括支援センター
介護や医療、保健、福祉などの側面から高齢者を支える「総合相談窓口」。保健師や社会福祉士、ケアマネジャーなどの専門職員が、介護や介護予防、保健福祉の各サービス、日常生活支援の相談に連携して応じる。設置主体は各市町村だが、大半は社会福祉法人や医療法人、民間企業などに委託し運営されている。<