2025年9月6日
※文化時報2025年6月17日号の掲載記事です。
お寺に寄せられた供物をひとり親家庭などにおすそわけする認定NPO法人おてらおやつクラブ(松島靖朗代表理事、奈良県田原本町)は5月24日、浄土宗一心寺(高口恭典住職、大阪市天王寺区)で初の啓発イベント「お寺の〝ある〟を社会の〝ない〟へ―お寺ができる子ども支援とは?」を行った。参加者らは活動報告やおすそわけの箱詰め体験などを通じ、支援の大切さを確かめ合った。
開催日は、浄土宗安養寺の住職である松島代表理事が「おてらおやつクラブ」を立ち上げるきっかけとなった2013(平成25)年の大阪母子餓死事件が起きた日。改めて子どもの貧困について考えようと、初めて啓発イベントを企画した。

おてらおやつクラブによると、お寺に集まる供物を「仏様のおさがり」として提供することで、受け取る家庭は引け目を感じずに済むという。賛同寺院は約2200カ寺、支援団体は約1千団体。活動を知った個人からも物品や寄付が集まり、食品だけでなく日用品や学用品も寄せられる。
イベントでは、事務局の後藤有香さん(31)が子どもの9人に1人、ひとり親世帯では2人に1人が貧困状態にあることをデータで示した。支援を求めた家庭からの窮状を訴える手紙や、おやつを受け取った母親からの感謝の手紙が朗読され「わが家のクリスマスはサンタさんよりお坊さんです」「届いた箱を開けた時、『見捨てられていない』と思えて涙が止まりませんでした」といった声が紹介された。
おすそわけの箱詰め体験も行われ、スタッフが「主食を必ず入れるようにしてください」「食品と日用品をバランスよく」などとアドバイス。後藤さんは「貧困には孤立という側面もある。活動に賛同する寺院や個人に声をかけてほしい」と呼び掛けた。
賛同団体の一つ、一般財団法人一心寺文化事業財団の髙口真吾代表理事(51)は「貧困状態にあるお母さんたちには大変な心痛があるだろう。そんな時、『誰かが見守ってくれている』というメッセージがおすそわけという形で届く。お寺にはその窓口になってほしい」と話した。

髙口代表理事は8年ほど前、浄土宗西念寺(大阪市天王寺区)の吉原徹哉住職(36)からおてらおやつクラブの活動に誘われ「やらない理由がない」とすぐに参加を決めたという。
「活動を始めて、余っている食べ物の多さに驚いた。誰もそれを無駄にしたいとは思っていない。世の中には埋もれている善意がたくさんあるので、そういう気持ちを持っていける窓口が近所にあり、常に扉が開かれていれば」と語った。