2026年4月3日
※文化時報2026年2月20日号の掲載記事です。
障害のある子が親の世話を受けられなくなった後にどう生きるかという「親なきあと」に関し、障害者家族の85.5%が不安に感じていることが、日本財団(尾形武寿会長、東京都港区)の全国調査で分かった。重度知的障害者の家族に限ると92.5%に上っていた。(山根陽一)
調査は昨年10月、障害者の家族2500人を対象にインターネットで実施。将来について36.2%が「非常に不安」、27.6%が「不安」、21.7%が「少し不安」と答えた。具体的には、生活費や医療費など経済的な不安が最も多かった。
「親なきあと」に向けて準備をしている家族は57.0%にとどまった。準備が進んでいない人の理由は、「将来の生活にいくら必要か見当がつかない」(41.1%)、「どのような制度や選択肢があるか分からない」(36.7%)などだった。
また、「親なきあと」におけるキーパーソンとしては、きょうだいが30.5%、福祉関係者が14.5%で、「決まっていない、分からない」も27.1%だった。
10日に日本財団ビル(東京都港区)で調査結果に関する説明会が開催され、専門家3人が登壇。「親なきあと相談室」を主宰する行政書士の渡部伸氏は、相談窓口が足りない現状を懸念し「民間だけでなく、行政も積極的に関わるべきだ」と指摘した。

また、地域に定着し家族関係をよく把握している寺院などの宗教施設にも期待を示した。見直しの議論が進む成年後見制度=用語解説=については、一度後見人がつくと中止がほぼ不可能なことを課題に挙げた。
オンラインで講演した北星学園大学短期大学部の藤原里佐教授は「自身の苦悩を表現することも困難な重度知的障害者にとって、親なきあとは深刻。障害者家族の貧困も大きな問題で、地域の受け皿が求められる」と述べた。
大分県社会福祉事業団事業強化推進室の後藤寛子主幹は「親が存命でも高齢化し身体機能が低下すると、介護の継続が困難になる。早い段階から家族だけではなく、弁護士や税理士などとの連携も重要」と語った。

大分県では、同事業団が実施主体となっている「親なきあと相談室」を県内6カ所に開設している。日本財団公益事業部の箕輪拓真氏は「大分モデルを全国に広めていきたい」と話した。
【用語解説】成年後見制度(せいねんこうけんせいど)
認知症や知的・精神障害などで判断能力が不十分な人に代わり、財産の管理や契約事を行う人(後見人)を決める制度。家庭裁判所が選ぶ法定後見と、判断能力のあるうちに本人があらかじめ選んでおく任意後見がある。支援対象を限定し、必要がなくなれば途中で利用を終了できる方向で見直しが検討されており、法制審議会(法相の諮問機関)の部会が2026年1月、民法改正の要綱案をまとめた。