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ヤングケアラーと人権考える 天台宗公開講座

2023年3月15日

※文化時報2023年1月13日号の掲載記事です。

 天台宗は昨年12月15日、天台宗務庁(大津市)で「人権啓発公開講座2022」を開催し、立命館大学産業社会学部の斎藤真緒教授が「ヤングケアラーを知っていますか?地域でできる支援を考えよう」と題して講演した。僧俗の参加者ら約60人は、介護を巡る人権問題について学びを深めた。

あいさつする阿部宗務総長(左)と斎藤教授
あいさつする阿部宗務総長(左)と斎藤教授

 天台宗は1980(昭和55)年から毎年、人権週間(12月4~10日)かそれに近い時期に、宗内向けの研修会を開催。2002(平成14)年からは一般にも公開し、差別の解消と人権啓発を推進している。

 「部落差別」「ハンセン病差別」「いのち」を三本柱と位置付け、近年は子どもの人権をテーマとした学習機会の提供に取り組んできたことから、今回はヤングケアラーに焦点を当てた。

 人権啓発委員会委員長の阿部昌宏宗務総長は「介護者の社会的孤立を考えることは、誰もが安心して生活できる社会を形成する上で大切」とあいさつ。公開講座を所管する社会部の柴田真成部長は「人権は、天台宗では第一に考えるべきこと。地域と一緒になって考え、支え合うことが、われわれの進むべき道」と話した。

家族丸ごと支援が必要

 講演に立った斎藤教授は、下の世代の面倒を恒常的に見なければならない状況に陥っている子どもや若者もヤングケアラーに類すると指摘。「ケアラーのしんどさは、ケアの内容ではなく、ケアラーであり続けること」と伝えた。

 子どもや若者がケアに関わり続けることの問題点も示した。教育を受け、友人関係を形成し、就職に向けて活動する「人生の土台をつくる時期」に、ケアに注力させられることが、経済的困窮や社会的孤立を生み出しているとした。

 また、ケアにまつわる問題は、子どもや若者に限らず、どのような世代でも人生への影響があると強調。家族に自己犠牲を強いる日本の社会システムに問題点を見いだし、ケアをされる人とする人の支援を統合した「家族丸ごと支援」が必要だとした。
 
 ヤングケアラーへの支援で必要とされるのは、ケアから離れる場所の存在であるとし、「身近で信頼できる大人に話せる場所が必要。お寺が果たせる役割もあるのではないか」と話した。

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