2023年3月5日
※文化時報2023年1月20日号の掲載記事です。
真宗大谷派福井教区(篠原亨栄教務所長)は、子どもたちに真宗の仏事などに親しんでもらう「子ども報恩講」とマルシェの同時開催に力を入れている。親と子、孫の3世代がお寺に集うきっかけづくりを目指す試みで、若手を中心に新型コロナの影響を乗り越えようと取り組んでいる。(高田京介)
子ども報恩講とマルシェは昨年12月3日、福井別院本瑞寺(福井市)で開催した。同6~9日の報恩講前だったが、境内にはキッチンカーや飲食ブースなどが並び、親子連れでにぎわった。
子ども報恩講は、コロナ禍前から行っていたが、教区職員と教区の僧侶や坊守らでつくる青少年教化小委員会が中心となって、2021(令和3)年にはマルシェを初めて実施した。
福井別院の輪番を務める篠原教務所長は「今回も500人超でにぎわった。子どもの頃に別院へ訪れたことを大人になって思い出してもらえるような地域の取り組みとしたい」と話す。その上で、「教区の若手が熱心に取り組んでいることに希望を持っている。年に1度だが、門徒はもちろん、地域住民にも親しみを持ってもらう大切な機会と考えている」と、継続に意欲を見せている。
育児サロンの主宰者が力に
マルシェの運営に携わった青少年教化小委員会の委員、山田顕子さんは、自身が坊守を務める唯称寺(山田孝彦住職、福井県坂井市)ではマルシェのほか育児サロン「のの・まーの」を毎月第2火曜に開いている。
のの・まーのは、仏を敬う幼児語の「ののさま」とスペイン語で「手」を意味する「マーノ」の組み合わせ。主に子育て世代の母親が集えるサロンとして、昨年7月から友人らと共に始めた。日頃の悩みや疑問を気軽に話せて、一緒に来た子ども同士で遊べる空間をつくることを目指す。
16(平成28)年ごろから始まったマルシェは数店のみの小さな会だったが、年々参加する店舗や団体が増え、コロナ前の最後の会ではキッチンカーを含め約40店が軒を連ねるようになった。
顕子さんは「ママたちが息抜きできる場所を、お寺が提供していければ」と語り、「教区の小委員会の任期は今年で終わるのでどうなるか分からないが、福井別院にも引き継いでもらいたい」と期待した。
夫の孝彦住職は「マルシェに関しては坊守が主導しており、頼もしい」と笑顔を見せ、「若い世代で寺離れが進んでいる。かつて『駆け込み寺』と言われていたように、お寺が親しみを持ってもらえる場になっていくことを期待したい」と力を込めた。