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SOSが伝わらない 孤独死テーマにシンポ

2023年3月19日

※文化時報2023年2月10日号の掲載記事です。

 生老病死の現場に立つ有識者から、死とどのように向き合うべきかを学ぶ一般向けのシンポジウム「ともに生ききる力―最期まで心豊かに生きる2023」が1月29日、京都市下京区の聞法会館で開かれた。浄土真宗本願寺派総合研究所が主催し、オンライン併用で約200人が参加。孤独死や終末期医療について考えた。

講演後に参加者からの質問に答える横尾氏、森田氏、佐々木氏(左から)
講演後に参加者からの質問に答える横尾氏、森田氏、佐々木氏(左から)

 遺品整理を手掛けるメモリーズ株式会社(堺市堺区)代表取締役の横尾将臣氏は、孤独死の実態を解説。大阪府監察医事務所の発表では、死後4~7日発見されなかった事案が年間約300件に上るといい、同社の遺品整理も約1割が孤独死の案件であることを明らかにした。

 その上で、海外メディアからの取材で「日本には、かつてしょうゆの貸し借りを行うほど近所の交流があったのに、2~3週間も死亡が確認されないようになったのはなぜだ」といった質問を、しばしば受けると指摘。「地域や家族のつながりが希薄化している。SOSが伝わらないことが問題だ」と訴えた。

 融通念佛宗西方寺(大阪府八尾市)の僧侶で龍谷大学教授の森田敬史氏は、長岡西病院(新潟県長岡市)ビハーラ病棟で従事していた頃のエピソードを紹介した。「なんでこんな人生なのか」という思いを抱える人がいることを伝え、「死に対する準備不足を感じる。死を覆い隠す風潮があり、死をひとごとにしている」と話した。また、「宗教者の存在が命を考えるきっかけになるが、宗教との関わり方が分からないという実態がある」と述べた。

 在宅医療を行い全国に21クリニックを展開している医療法人社団悠翔会(東京都港区)理事長の佐々木淳氏は「孤独死は残念な結末と言われるが、具合が悪いのは孤立」と強調した。地域交流のある人や生きがいを持つ人の方が長寿とする研究成果を紹介した上で、「老化に伴って社会との関係性が薄れる。自分で生き方を決めるには、それを支える人が必要。つながりが一番大切」と語った。

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