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「コンパッション都市」慈悲の地域づくり学ぶ

2023年5月25日

※文化時報2023年4月4日号の掲載記事です。

 慈悲や思いやりと訳されるコンパッションに根差した地域づくりを考えようと、日本ホスピス・在宅ケア研究会は3月26日、「全国大会in仙台」プレ大会をオンラインで開いた。僧侶を含む約150人が参加し、コンパッション都市という新しい概念について学んだ。

仏教の視点からコンパッションについて語った高橋副住職
仏教の視点からコンパッションについて語った高橋副住職

 コンパッション都市は、米バーモント大学臨床教授のアラン・ケレハー氏が著書『コンパッション都市―公衆衛生と終末期ケアの融合』で提唱した。翻訳した静岡大学未来社会デザイン機構副機構長の竹之内裕文氏によると、死と喪失という誰もが避けて通れない課題を共に受け止め、助け合うコミュニティーのことを指す。

 プレ大会には、竹之内氏を含む4人が登壇した。このうち、曹洞宗普門寺(宮城県栗原市)の高橋悦堂副住職は「葬儀は大切なコンパッションの場」と指摘。感情を表に出すことが公に許されているという葬儀の特徴を挙げ、「慈悲のつながりは、生きている人だけでなく、亡くなった方にも関わる」との見方を示した。

 また、東北自死・自殺相談センター(とうほくSotto)の活動に参加しているボランティアの体験談を通じ「つらさや苦しさを、優しさに変えていく生き方が慈悲であり、コンパッションだ」と強調。「相手のつらさや苦しさを思うことがスタートだが、ただ共感するだけでなく、思いを次にどうつなげるかも大事」と語った。

 竹之内氏は、専門職によるサービス供給は友人関係の代用物であり、膨大なコストがかかると指摘。「老病死と喪失を支え合うという課題に、医療・福祉の専門職の拡充を図るだけでいいのか」と問題提起し、コミュニティー形成への転換の時期を迎えていると述べた。

10月に全国大会

 日本ホスピス・在宅ケア研究会は10月28、29の両日、仙台市青葉区の戦災復興記念館で「全国大会in仙台」を開く。コンパッション都市を主要テーマに、アラン・ケレハー氏の講演会などが行われる。

 問い合わせは、仙台大会事務局の東北大学大学院文学研究科死生学・実践宗教学専攻分野(jshh30.sendai@gmail.com)。

 

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