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性的少数者は当然の存在 真言宗各山会で人権講習

2023年8月8日

※文化時報2023年6月20日号の掲載記事です。

 真言宗各派総大本山会は6日、真言宗智山派宗務庁(京都市東山区)で人権推進講習会を開き、性的少数者=用語解説=の当事者で高野山真言宗性善寺(大阪府守口市)の柴谷宗叔(そうしゅく)住職が「性的マイノリティーの人権」と題して講演した。参加した僧侶ら56人は、性的少数者の存在を当然とする社会に転換する必要性を学んだ。

性的少数者への対応を僧侶に求める柴谷宗叔住職
性的少数者への対応を僧侶に求める柴谷宗叔住職

 柴谷住職は性的少数者について、体と心の性が異なったり、性的指向が同性だったりするほか、自分の性を自認できないなど多様なケースがあることを説明。「空に架かる虹がはっきりと7色に分かれず、グラデーションになっているのと同じ」と例えた。

 電通の「LGBTQ+調査2020」では、性的少数者の割合が8.9%に上るとの結果が出ている。柴谷住職はこれに基づき、性的少数者が人口の約1割を占めるとの見方を示し、「同程度の割合がいる左利きや血液型のAB型の人は、社会で当たり前と捉えられている。性的少数者もそうあるべきだ」と語った。

 また、「檀信徒の1割程度は性的少数者ということ。相談されたら、対応しなければならない」と言及。小学生への講演で、性的少数者と「どのように付き合えばいいのか」と質問されたエピソードを紹介し、「特殊な人ではないので、普通に接すればいい」と答えたことを明かした。

 同性婚についても解説した。憲法24条1項に「婚姻は、両性の合意のみに基(もとづ)いて成立し、夫婦が同等の権利を有する」と定められているため、「両性」の解釈を巡って意見が分かれていると指摘。同性カップルに夫婦と同等の権利を認める施策として、2015年に東京都渋谷区が「パートナーシップ証明制度」を設け、都も22年に条例改正で同様の制度を導入したものの、「自治体によって対応が異なる」と伝えた。このほか、埋葬の際に同性カップルを受け付けない霊園や寺院が存在することや、遺産相続や就職活動などでも課題があると訴えた。

 服部融亮各山会人権推進委員長(真言宗智山派教化部長)は「宗教界は、誰もが認め合う社会の形成に寄与することが求められる。きょうの講習が、性的少数者への理解の一助になってほしい」と話した。

【用語解説】性的少数者

 性的指向や性自認のありようが、多数派とは異なる人々。このうちレズビアン(女性の同性愛者)、ゲイ(男性の同性愛者)、バイセクシュアル(両性愛者)、トランスジェンダー(身体の性に違和感を持つ人)の英語の頭文字を取ったのがLGBTで、クエスチョニング(探している人)を加えてLGBTQと呼ばれることがある。

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